内科や眼科でよく行われる検査は何を目的としているのでしょうか?眼底は人体で唯一、血管の状態を直接肉眼でみることのできる検査です。眼底の血管に異常が起きていれば、眼底以外の血管にも同じように変化が起きている可能性があります。眼底の血管の変化のレベルと脳梗塞や心筋梗塞の発作の発生率には、深い関連があり、その発見に役立ちます。
眼底模式図
血圧とは血液が動脈を流れる際に血管の内側にかかる圧のことです。上の血圧とは、心臓が収縮して血液を送り出したときの収縮期血圧のことで、下とは心臓が拡張した時の拡張期血圧のことです。収縮期血圧140以上、拡張期血圧90以上の場合、高血圧と診断されます。
高血圧の状態が長く続くと、血管の壁に大きな負担がかかります。血管の壁はその負担のために硬く変化し、動脈硬化を起こします。動脈硬化が進行すると、血管内腔が狭くなって、一層血圧が高くなります。
高血圧が続くと、動脈が細くなるという現象が起こります。動脈がどの位細くなっているかを、平行して走っている静脈の太さを基準に測定し、正常~高度の4段階に分類します。
動脈の狭細化の他に、1本の動脈に太い血管と細い部分ができる、口径不同という現象もみられます。これらの現象は血圧による一時的な影響で、血圧をコントロールすることで元に戻る可能性があります。
高血圧が長く続くと、血管壁が硬く変性する動脈硬化が起こります。動脈硬化の程度は血柱反射の亢進((血管の壁が輝いて見える現象)や動静脈交差現象(血管の動脈と静脈が交差しているところで、動脈の血管の壁が静脈の血柱を隠してしまい、静脈が細く見える)という所見が見られます。
高血圧が続くと、血管の壁から血液や血液成分がしみだしてできる、出血班や滲出班、血管が途絶することによって起きる軟性白斑や網膜の浮腫などが起こります。さらに進行すると、視神経の浮腫、網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞、硝子体出血などを併発し、視力低下が起こります。
網膜血管に動脈硬化がなければ、血圧を下げることにより、血管の状態は元に戻ります。出血班や白斑も消失します。
循環器を専門とした医師の診断と治療を受けることが必要です。減塩すること、禁煙、運動すること、規則正しい生活をすることなど生活を見直すことも大切です。