通常の白内障はゆっくり年月をかけて進みますが、原因や種類によっては比較的短期間で進むことがあります。
また、急に見えにくくなったからといって、必ずしも白内障が原因とは限りません。網膜や視神経など、ほかの病気によって見え方が変化している可能性もあります。
この記事では、白内障が急に進むことがあるのか、進行が早くなる原因や注意したい症状について詳しく解説します。
「白内障はゆっくり進むと聞いていたのに、最近急に見えにくくなった」「数か月前より視力が落ちた気がする」と不安を感じている方は、参考にしてみてください。
白内障が急に進むことはある?

白内障の多くは数日や数週間ではなく、年月をかけて徐々に進行します。
しかし、原因や白内障の種類、濁りが生じる場所などによって、進行の仕方には違いがあり、中には進行が早いタイプもあります。
まずは、一般的な白内障の進み方と、比較的進行が早い白内障について解説します。
加齢性白内障は通常ゆっくり進む
白内障の中でも最も多く見られるのが、年齢を重ねることによって起こる「加齢性白内障」です。
加齢性白内障は一般的に進行が緩やかで、初期には自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行しているケースもあります。
ごく軽い濁りまで含めると、白内障の年代ごとの有病率は以下のように報告されています。
| 年代 | 有病率(初期の濁りを含む) |
|---|---|
| 50歳代 | 37〜54% |
| 60歳代 | 66〜83% |
| 70歳代 | 84〜97% |
| 80歳以上 | 100% |
▶白内障の原因は加齢だけじゃない?予防方法や手術について紹介
▶白内障は何歳から発症する?若年での発症ケースや手術を受ける年齢について紹介
進行が早い種類の白内障もある
一方で、加齢以外の原因で起こる白内障には、比較的若い年代でも発症し、短期間で視力が落ちるものがあります。
代表的なのは、ステロイド薬の使用、糖尿病、アトピー性皮膚炎、目の外傷に関連するタイプです。
また、白内障の中でも水晶体の後ろ側の中央付近が濁る「後嚢下白内障」は、光の通り道に近い位置に濁りが生じるため、初期から見えにくさやまぶしさを感じやすい傾向にあります。
ステロイド薬による白内障では、数ヶ月〜1年程度で手術が必要になるほど視力低下が起こることもあるため、急に見え方が変わった場合は眼科で確認することが大切です。
白内障が急に進む原因

白内障が短期間で進む背景には、全身の病気や治療薬、目への物理的な刺激など、さまざまな要因が考えられます。
日本眼科学会でも、糖尿病やアトピー性皮膚炎、外傷、ステロイドなどが白内障を進行させる要因として挙げています。
(参考:日本眼科学会『白内障』)
| 原因 | 白内障との関係 |
|---|---|
| 目の外傷 | 水晶体が直接ダメージを受け、外傷性白内障を起こすことがある |
| 糖尿病 | 白内障を発症・進行しやすく、比較的若い年代でもみられることがある |
| ステロイド薬 | 使用方法・量・期間などによって白内障のリスクに関係する |
| アトピー性皮膚炎 | 若い年代でも白内障を合併することがあり、目をこする・たたく刺激なども関係すると考えられている |
| 白内障の種類・濁る場所 | 後嚢下白内障など、比較的進行が早く視力に影響しやすいタイプがある |
ここからは、それぞれについて詳しく解説します。
目の外傷
「昔、ボールが目に当たったことがある」「仕事中に目のあたりを強くぶつけた」など、目に強い衝撃が加わると水晶体が傷つき、「外傷性白内障」を起こすことがあります。
外傷性白内障で濁りが生じるタイミングにはばらつきがあり、ケガをした直後のこともあれば、数か月から数年経ってから発症する場合もあります。
一度症状が出ると進行が早いことがあるため、注意が必要です。
これまでに目をぶつけたり、ケガをした経験がある方は、一度眼科で調べてもらいましょう。
糖尿病
糖尿病がある方は糖尿病がない方と比べて白内障を発症しやすく、比較的若い年代でみられることもあります。
高血糖が続くことで水晶体内のタンパク質が変性を起こしやすくなり、白内障の発症や進行に関係すると考えられています。
また、糖尿病では「糖尿病網膜症」によって視力が低下する可能性もあります。
糖尿病網膜症は糖尿病三大合併症の一つで、急に眼内に出血を起こすと、視力が下がります。
糖尿病の期間が長いほどリスクは増すため、血糖管理と並行して、定期的に眼科を受診しましょう。
ステロイド薬
幅広い治療に使われているステロイド薬ですが、長期使用や大量投与により、白内障(特に後嚢下白内障)が起こりやすくなることが知られています。
ステロイドによる白内障は、加齢によるものよりも進行が速く、数か月から1年ほどで手術が必要なレベルまで視力が落ちることがあるとされています。
放置すると症状が悪化してしまう可能性があるため、生活の質を保つためにも、早期に検査や治療を受けましょう。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎に伴う白内障は、年齢が若い方でも発症することがあります。
炎症や目をかく、こする、叩くといった刺激、治療に使用するステロイド薬などが影響し、進行が早まることがあるため注意しましょう。
アトピー性皮膚炎は、網膜剥離(アトピー性網膜剥離)のリスクも高めるといわれているため、「急に見え方が変わった、見えにくくなった」という場合は早めに眼科を受診しましょう。
白内障の種類・濁る場所
白内障は、水晶体のどこから濁り始めるかによっていくつかのタイプに分かれ、症状の出方や進むスピードに違いがあります。
主なタイプの違いは以下のとおりです。
| タイプ | 濁り始める場所 | 気づきやすい変化 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 皮質白内障 | 水晶体の外側(皮質)から中心へ | まぶしさ、かすみなどが見られる | 濁りが中心に届くまで自覚しにくい |
| 核白内障 | 水晶体の中心(核) | 近視化が起こり、手元が見やすくなったように感じる | 進むと核が硬くなり、手術が難しくなる |
| 後嚢下白内障 | 水晶体の後ろ側の膜の下(中央付近) | 早い段階からの視力低下、明るい場所でのまぶしさを感じる | 進行が早い場合がある |
中でも、後嚢下白内障は水晶体の後ろの真ん中辺りに濁りが生じるため、早い段階から見え方に影響することがあり、進行も早い傾向にあります。
白内障が進行すると現れる症状
白内障は、目の中でレンズの役割をする水晶体が濁る病気です。初期にはほとんど症状がないこともありますが、濁りが進むにつれて光が通りにくくなり、見え方にさまざまな変化が現れます。代表的な症状は、視力低下、かすみ、まぶしさ、物が二重・三重に見えることなどです。
- 視界がかすむ・ぼやける
- 視力が低下する
- 光をまぶしく感じる
- 物が二重・三重に見える
- 明るい場所で見えにくくなる
- 眼鏡の度数が合わなくなる
症状の程度は、水晶体の濁りの強さだけでなく、濁っている場所によっても異なります。「以前より見えにくくなった」「眼鏡を替えても見え方が改善しない」と感じる場合は、一度眼科で状態を確認しましょう。
白内障の進行を早める生活習慣

喫煙習慣や、紫外線を浴びる機会が多いなど、生活習慣も白内障の発症・進行に影響する要因です。
ここからは、白内障の進行に関係する主な要因について解説します。
喫煙
喫煙も白内障と関係することがわかっています。
13件の前向きコホート研究と8件の症例対照研究をまとめた解析では、喫煙歴がある人では加齢性白内障のリスクが高く、特に核白内障との関連が強いことが報告されました。
喫煙の本数が多いほど白内障のリスクが上がると考えられているため、現在喫煙している方は本数を減らす減煙に取り組んだり、可能であれば禁煙を検討しましょう。
(参考:Juan Ye, Jinjing He, Changjun Wang, Han Wu, Xin Shi, Huina Zhang, Jiajun Xie, Sang Yeul Lee『Smoking and risk of age-related cataract: a meta-analysis』)
紫外線
紫外線を長く浴び続けると、白内障の発症が早まったり、すでにある白内障の進行が速まったりする可能性があります。
紫外線は晴れた夏の日だけに降り注ぐものではありません。また、紫外線もたばこと同様、要因にさらされる量が多いほど白内障のリスクは増すといいます。
屋外で過ごす時間が長い方は、UVカット機能のある眼鏡やサングラスなどの紫外線対策グッズを使って、日常的に目を紫外線から守りましょう。
白内障を放置するリスク

白内障はすぐに失明につながる病気ではありませんが、一度濁ってしまった水晶体を透明に戻すことはできません。
点眼治療で期待できるのは進行を遅らせることであり、濁りを取り除くには手術が必要です。
ここでは、白内障を放置するリスクについて解説します。
視力が低下して日常生活に支障が出る
白内障が進行するにつれて水晶体の濁りが強くなり、まぶしさ、物が二重に見えるなどの症状が強くなります。
日本白内障学会によると、白内障がある方は、ない方と比べて交通事故のリスクが2.5倍に高まるといいます。
重度まで進行すると視力が大きく低下することもあり、生活の質(QOL)の大幅な低下につながるため、放置しないことが大切です。
(参考:日本白内障学会『白内障とQOL』)
手術の難易度やリスクが高くなる
白内障手術は日本国内で年間約140万〜160万件行われているメジャーな手術であり、日帰りで身体への負担を抑えて行うことが可能です。
しかし、白内障が進行して水晶体の核が硬くなると、超音波で砕く操作に時間がかかり、手術の難易度が高くなることがあります。
その結果、手術時間が長くなったり、目への負担が増えたりして、合併症のリスクも高まる可能性があります。
急に見えにくくなった場合は白内障以外の病気にも注意
急に視力が低下した場合や、視野が突然欠けた場合は、白内障以外の病気が原因になっている可能性も考えられます。
早急な治療が必要なものもあるため、急激な症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
| 病気 | 主な症状・特徴 |
|---|---|
| 網膜裂孔・網膜剥離 | 飛蚊症が急に増える、光が走って見える、視野が欠ける、急に視力が低下する |
| 網膜静脈閉塞症 | 片目の急な視力低下、視野の一部が見えにくい、物がゆがんで見えるなど |
| 眼底出血 | 出血の場所や量によって、飛蚊症、かすみ、視力低下などが現れる |
| 急性緑内障発作 | 急な視力低下、強い眼痛、頭痛、吐き気・嘔吐など |
白内障が急に進んだと感じたら早めに眼科の受診を
見えにくさが白内障によるものか、別の病気によるものかは症状だけではわからず、眼科で検査を受けなければ判断できません。
突然の視力低下や視野欠損などがある場合には、早急な対応が必要な病気の可能性もあります。
急に変化を感じた場合は、放置せずに早めに眼科を受診しましょう。
白内障の進行についてのよくある質問
ここからは、白内障の進行についてよくある疑問にお答えします。
Q:白内障はどのくらいの期間で進みますか?
A:加齢による白内障は、年単位の長い時間をかけて少しずつ進むのが一般的です。
ただし、進行の速さには個人差があり、自分の白内障がどのくらいのペースで進んでいるかを知るためにも、定期的に検査を受けて経過を把握しておきましょう。
Q:白内障が進むと失明しますか?
A:日本は医療の水準が高く、白内障での失明率はまれなケースです。
ただし、白内障を治療せず末期まで進行すると視力が著しく低下することがあるため、見えにくさを我慢し続けず、適切な時期に治療を受けましょう。
まとめ
白内障の多くは年単位でゆっくり進みますが、ステロイド薬や糖尿病、アトピー性皮膚炎、目の外傷が関わる場合や後嚢下白内障では、加齢性のものよりも早いスピードで進行することがあります。
また、急に見え方が変わる症状は他の目の病気でも起こるため、「以前より急に見えにくくなった」と感じたときは、早めに眼科で検査を受けましょう。
東武練馬駅南口から徒歩1分のつつみ眼科クリニックでは、各分野の医師が連携し、さまざまな検査機器を用いた診断・治療を行っています。
白内障の日帰り手術にも対応しているため、白内障の進行や最近の見え方に不安がある方は、まずはご相談ください。