
20代の方で、「視野の一部が見えにくい気がする」「親が緑内障で、自分も若いうちから気をつけるべきか知りたい」と目の不安を抱えていませんか。
緑内障は40歳以上に多い病気ですが、20代でも発症することがあります。強度近視や家族歴などのリスクを知って適切な時期に検査を受ければ、早い段階で見つけやすくなります。
この記事では、20代で緑内障に注意したい人の特徴や気づきにくい理由、検査を受ける目安、診断後の向き合い方を紹介します。
緑内障の特徴

緑内障は、眼球の奥にある視神経が少しずつ傷み、見えない範囲がゆっくり増えていく慢性の目の病気です。
傷んだ神経は再生しません。しかも痛みなどの自覚がないまま進むため、日本では、生まれた後に失明する原因の第1位とされています。
眼圧が高い人だけがなる病気ではなく、眼圧が正常範囲でも起こりうることは、若い世代にもぜひ知っておいてほしい特徴です。
20代でも緑内障になることはある

緑内障は中高年に多い病気ですが、20代を含む若い世代でも発症することがあり、年齢だけで「関係ない」とは言い切れません。
ここでは、20代の緑内障の実態と、よくある誤解について解説します。
40歳未満でも発症するケースがある
緑内障は年齢とともに増える病気ですが、40歳未満で発症したり見つかったりするケースもあります。
厚生労働省の資料によると、40歳以上の5.0%に緑内障がみられ、年齢が上がるほど多くなる病気であることがわかります。ただし、視神経が傷む仕組みは年齢に関係なく起こりうるものです。
20代でも、眼科の検査で緑内障や「緑内障の疑い」を指摘されることがあります。
若いからといって受診を先延ばしにせず、気になる点があれば一度検査で確かめておくと、その後の見通しを立てやすくなるでしょう。
若い世代で見つかりやすいタイプ
若い世代で見つかる緑内障には、中高年と同じ原発開放隅角緑内障のほかに、若いうちに発症するタイプもあります。
その一つが、生まれつき隅角(目の中の水の出口)の発達に異常がある発達緑内障のうち、4歳以降に発症する若年開放隅角緑内障です。
乳幼児期に発症する場合と違って自覚症状が少なく、病気が進んでから健診などをきっかけに見つかることがあります。
どのタイプにあたるかは、隅角検査や視野検査などを組み合わせて医師が判断します。
スマホの使いすぎが原因とはされていない
「毎日スマートフォンを長時間見ているから、緑内障になるのでは」と心配する方は少なくありません。
しかし、現時点でスマートフォンの使用による緑内障の危険因子は確認されていません。
「画面を見ている間に眼圧が一時的に上がる」という研究はあるものの、短い休憩で元に戻っており、発症につながるかどうかは確かめられていません。
長時間使ったときに起こりやすい目の疲れや乾きは、視神経が傷む緑内障とは別の状態です。
スマートフォンの使用を必要以上に心配するより、近視や家族歴など、根拠のあるリスクに目を向けることが大切です。
20代で緑内障に注意したい人の特徴

20代で緑内障に特に注意したいのは、強度近視の人、家族に緑内障の人がいる人、ステロイド薬を長く使っている人です。
ここでは、それぞれのリスクと注意点を紹介します。
強度近視と言われたことがある人
学生の頃から度の強い眼鏡やコンタクトを使ってきた方は、近視が緑内障の危険因子の一つであることを知っておきましょう。
近視が強い目は眼軸(角膜から網膜までの長さ)が長く、視神経が眼球から出ていく部分に負担がかかりやすいと考えられています。
近視の目は、視神経の出口(視神経乳頭)の形がもともと傾いていたり平たかったりすることがあります。そのため、緑内障による変化かどうかを見極めるには、OCTなどの機器で丁寧に調べることが重要です。
度数が強いと言われている方は、コンタクトを買うだけで済ませず、視神経まで調べる眼科の受診を一度検討するとよいでしょう。
家族に緑内障の人がいる人
「親が緑内障の目薬を使っている」と知って、自分の目が気になり始める20代の方もいるでしょう。
緑内障は遺伝的な体質が発症に関わる病気とされ、血のつながった家族に患者がいることは、リスクの一つに数えられています。
ただし、家族に患者がいるからといって必ず発症するわけではなく、家族に患者がいない人でも緑内障が見つかることは珍しくありません。
家族のことを「将来への不安の種」ではなく「早めに検査を受ける理由」ととらえ直すと、次の行動に移りやすくなります。
ステロイド薬を長く使っている人
20代は、アトピー性皮膚炎やぜんそく、アレルギー性結膜炎などの治療でステロイド薬(炎症を抑える薬)を使う機会が多い世代です。
ステロイド薬には、体質によって房水(目の中を満たす液体)が流れ出るのを妨げ、眼圧を上げる作用があります。これが原因で起こる緑内障は「ステロイド緑内障」と呼ばれ、続発性緑内障の一つに分類されます。
目に近い場所に使う点眼薬や顔用の塗り薬は影響が出やすいとされますが、眼圧が上がっても自覚症状はほとんどないため、気づかないまま過ごしてしまうことがあります。
持病の治療を優先しながら、長く使っている場合は、薬を処方した医師に「眼圧も測ったほうがよいか」と聞いてみましょう。
20代の方が緑内障に気づきにくい理由

20代の方にみられる緑内障は、自覚症状が少ない傾向にあります。
ここでは、若い年代の方が緑内障に気づきにくい3つの理由を説明します。
初期は自覚症状がほとんどない
若い世代の緑内障が見過ごされやすいのは、痛みや充血といった「異変のサイン」が、初期にはほとんど現れないためです。
視力は視野の中心で決まるため、緑内障で周りの視野が欠け始めても、視力検査の結果はよいまま保たれることが多いのです。
仕事や勉強で細かい文字を問題なく読めていると「目は健康だ」と思いがちですが、視力と視野は別の働きです。
自分の感覚よりも、視野や視神経を実際に測る検査の結果を判断の材料にすることが、早期発見への近道になります。
もう片方の目が視野の欠けを補う
人の目には、両目の情報をまとめ、欠けた部分を脳が自然に埋め合わせる働きがあり、この働きのおかげで日常生活は快適に送れます。
その一方で、緑内障による小さな視野の欠けまで覆い隠してしまうため、本人が異常に気づきにくくなるのです。
スマートフォンやパソコンの画面はほとんど視野の中心で見るため、周りの欠陥にはなおさら気づきにくいでしょう。
見え方に違和感がないことを「異常がない」ことと同じだと考えず、検査でしかわからない変化があると理解しておくことが大切です。
若い世代の健診では眼底を調べないことも
20代の方が職場で受ける定期健康診断には視力検査が含まれますが、眼圧や眼底の検査は法律で定められた項目に入っていません。
眼底検査が項目にある特定健診も対象は40〜74歳です。眼底検査は、血糖や血圧などの基準に当てはまり、医師が必要と判断した場合にだけ行われます。この点は厚生労働省の特定健診Q&Aに示されています。
視力検査だけでは視神経の変化はわからないため、健診で異常がなくても、緑内障が見逃されている可能性があります。
こんな変化があれば早めに眼科へ

視野の見えにくさや、急な目の痛み・吐き気などの変化は、受診のきっかけとして見逃さないことが大切です。
ここでは、早めに眼科を受診したい2つのサインを紹介します。
片目で見ると一部が見えにくい
ふと片目をつぶったときに「右目だけだと景色の端がぼやける」と気づいた場合は、早めに眼科で相談することが望ましいです。
両目で見ているときには隠れていた視野の欠けが、片目で見ると表に出てくる場合があるためです。
片目で見たときの違和感は、緑内障のほかにも、網膜の病気などさまざまな原因で起こるため、自分では区別できません。
「いつ、どちらの目で、どのように見えにくかったか」を具体的に伝えられると、医師がどの検査を行うか決めるときの参考になります。
急な目の痛みや吐き気は急いで受診
20代では多くありませんが、目の激しい痛みに頭痛や吐き気が重なり、見え方が急に悪くなった場合は、急性緑内障発作の可能性があります。
急性緑内障発作は、房水の出口が突然ふさがれ、短い時間で眼圧が急に上がる状態です。早く治療しないと、重い視力障害が残るおそれがあります。
症状が片頭痛や胃腸炎と似ているため、目の病気だと気づかれにくいことも知っておきたい点です。
夜間や休日であっても翌日まで待たず、救急の相談窓口などを使って受診先を探しましょう。
20代が緑内障の検査を受ける目安

20代の方は、近視や家族歴などのリスクに応じて、眼圧・眼底・視野の検査を一度受けておくことが、将来の見え方を守る第一歩になります。
ここでは、検査を受ける目安と検査の内容を説明します。
近視や家族歴があれば一度は検査を
強度近視や家族歴、ステロイド薬の長い使用など、これまでに紹介したリスクに1つでも当てはまる方は、20代のうちに緑内障を意識した眼科の検査を受けておくことをおすすめします。
若いうちの視神経や視野の状態を記録しておくと、将来の検査結果と比べるための「基準」として役立つためです。
最初の検査で異常がなければ、次に受診する時期の目安を医師から聞いておきましょう。就職や引っ越しなど生活の節目に合わせて予定を立てると忘れにくくなります。
逆に「緑内障の疑いがある」と言われても、すぐに治療が始まるとは限らず、経過を見ながら判断されることもあると知っておくと、必要以上に構えずに済むでしょう。
コンタクトの定期検査を活用する
コンタクトレンズを使っている方は、定期検査で眼科に行く機会を、緑内障の早期発見にも役立てられます。
定期検査のときに家族歴や近視の程度を伝え、「眼圧や眼底の状態も確認してほしい」と相談しておくと、必要に応じて検査を受けやすくなります。
ただし、コンタクトの処方に必要な検査だけでは、緑内障かどうかを判断しきれないこともある点に注意が必要です。
気になるリスクがある方は、受診のときに「緑内障の検査も受けたい」と伝えることが大切です。
眼圧・眼底・視野を組み合わせて調べる
眼科での緑内障の検査は、「眼圧を測る」「視神経を見る」「視野を確かめる」という3つの方向から目の状態をまとめて把握するものです。
まず眼圧の測定や眼底の撮影で手がかりを探し、異常が疑われた場合に視野検査や隅角検査で詳しく調べる、という流れが一般的です。
検査の費用は保険診療として扱われることが多いものの、受ける検査の数や自己負担の割合で変わります。
受診前に問い合わせておくと、当日の流れもスムーズでしょう。
20代で緑内障と診断されたら

20代で緑内障と診断されても、治療を続けて今の視野を保つことが目標になります。
長く付き合う病気だからこそ、通院を続けるための工夫が大切です。
ここでは、診断後の治療の考え方と、生活に関わる相談について解説します。
治療の目的は今の視野を保つこと
緑内障の治療は、失われた視野を取り戻すものではなく、「今ある視野をできるだけ保つこと」を目的としています。
傷んだ視神経は元に戻りませんが、眼圧を下げることが、進行を抑える方法として確立しているためです。
治療は点眼薬から始めることが多く、効果が十分でない場合はレーザー治療や手術を検討します。点眼薬では、充血やかゆみなどの副作用が出ることもあります。
将来への不安が大きくなりがちですが、早い段階で治療を始められたことは見え方を保つうえで前向きな材料といえるでしょう。
長く続く治療だから通いやすさも大切
緑内障は多くの場合、一生にわたって治療を続ける病気です。20代で診断された方は、治療や経過観察が数十年続く可能性があります。
20代は就職、転居、結婚などで生活が大きく変わる時期でもあるため、通勤や生活の動線の中で通える場所かどうかも、医療機関を選ぶ大切なポイントです。
転居などで通院先が変わるときは、紹介状や検査結果を引き継いでもらえば、これまでの経過をもとに治療を続けやすくなります。
無理なく続けられる通院の計画を、医師と相談しながら立てることが望ましいです。
仕事や運転への影響は主治医に相談
緑内障が仕事や車の運転にどう影響するかは、視野の欠けている範囲や進み具合によって異なります。
初期であれば日常生活にほとんど影響がない場合も多いですが、病気が進むと、視野の欠けによって信号や歩行者を見落とすおそれが出てくるためです。
運転免許の更新や、細かい作業・夜間の運転が多い仕事などで不安がある場合は、視野検査の結果をもとに主治医に相談しておくと、判断の材料になります。
ひとりで悩まず、生活の中で困っていることも含めて伝えることが大切です。
緑内障に備える「目の履歴書」

眼鏡やコンタクトの度数、受診の結果、家族の目の病気を「目の履歴書」として記録しておくと、将来の変化を比べる材料になり、医師にも情報を伝えやすくなります。
ここでは、20代から始めたい3つの記録を紹介します。
眼鏡やコンタクトの度数を残す
眼鏡やコンタクトレンズの度数は、処方箋やパッケージを写真に撮るなどして残しておくことをおすすめします。
近視の強さは緑内障のリスクを考える手がかりになり、度数の変化がわかれば、医師が診察するときの参考になるためです。
コンタクトの箱に書かれた数値や、眼鏡店で受け取った度数表をスマートフォンのアルバムにまとめておけば、手間をかけずに記録できます。
学生時代からの度数がわかる場合は、それも一緒に残しておくとよいでしょう。
健診や受診の結果を時系列で保管する
眼科で受けた検査の結果や健診の結果は、日付の順に保管しておくと、将来比べるときに役立ちます。
緑内障は長い時間をかけてゆっくり進むことが多いため、過去の眼圧や視神経の状態と比べることで、小さな変化に気づきやすくなるからです。
例えば、検査のあとに受け取った結果の用紙、眼圧の値、医師から言われたことを、1つのファイルやアプリにまとめておく方法があります。
転居や転職で医療機関が変わったときも、記録があれば、新しい主治医にこれまでの経過を伝えやすくなるでしょう。
家族の目の病気を聞いておく
緑内障は、家族が診断を受けていても周りに話していないことがあります。
親や祖父母に目の病気について聞いておくことが、自分のリスクを知る手がかりになります。
帰省や家族の集まりなど、話しやすい機会に次の点を確認してみましょう。
- 緑内障と言われたことがある、血のつながった家族(親、きょうだい、祖父母など)
- 診断を受けたときの、おおよその年齢
- 点眼治療や手術を受けたことがあるか
すべてがわからなくても、わかる範囲の情報が、医師がリスクを判断する材料になります。
聞いた内容は、度数や検査結果の記録と一緒にまとめておくと、受診のときに伝えやすいでしょう。
まとめ
緑内障は40歳以上に多い病気ですが、20代でも発症することがあります。
強度近視や家族歴、ステロイド薬の使用などに当てはまる方は、若いうちに一度検査を受けておくことが早期発見につながります。
自覚症状や一般の健診だけに頼らず、目の履歴書を活用して自分の目の状態を把握しておくことが、将来の見え方を守る一歩になるでしょう。
つつみ眼科クリニックでは、緑内障を担当する医師が、近視や家族歴が気になる若い世代の方の検査から、診断後の点眼治療やSLTレーザー治療まで診療しています。
東武練馬駅から徒歩1分と、通勤や外出のついでにも立ち寄りやすい場所にあるため、「20代だけれど一度きちんと調べておきたい」と感じたときは、気軽に相談していただければ幸いです。