
緑内障が疑われるとき、「いつ受診すればよいのか」「どのくらいの頻度で検査を受ければよいのか」と迷う方は少なくありません。
緑内障の検査頻度は、「まだ診断されていない」「疑いがある」「治療中」という段階によって目安が異なり、自分がどの段階にいるかを知るとちょうどよい受診のペースをつかみやすくなります。
この記事では、段階ごとの検査間隔の目安と、検査を無理なく続けるための予定管理のコツを紹介します。
緑内障の検査頻度が人によって違う理由

緑内障の検査頻度は、病気の段階、進行のリスク、検査の種類によって変わり、最終的には一人ひとりの状態に合わせて主治医が決めます。
ここでは、検査頻度を決めるときの基本的な考え方を解説します。
緑内障の段階とリスクで受診頻度が決まる
緑内障の検査を受ける頻度は段階によって大きく変わります。
段階が進むほど、眼圧や視野の小さな変化を見逃さないことが重要になり、確認する回数を増やす必要が出てくるためです。
同じ段階でも、視野の欠けが進んでいる方や、片方の目しか見えていない方などには、より短い間隔がすすめられることがあります。
自分がどの段階にいるのかを知っておくと、医師から示された受診間隔の意味も理解しやすくなるでしょう。
毎回受ける検査と定期的に受ける検査がある
緑内障の通院では、毎回の診察で行う検査と、数か月から1年ほどの間隔で行う検査を組み合わせています。
眼圧は日によって変わりやすく、治療の効果を確かめるためにも毎回測る必要があります。
一方、視野検査やOCTは時間がかかり、短い期間では変化も小さいため、一定の間隔をおいて結果を比べるのが一般的です。
検査ごとのタイミングの目安は下の表のとおりで、その日にどの検査を行うかは、受診のたびに医師が判断します。
| 検査 | 実施のタイミング | 目的 |
|---|---|---|
| 眼圧検査 | 受診のたびに行うことが多い | 点眼の効果や、眼圧の変化を確認する |
| 細隙灯顕微鏡検査 | 受診のたびに行うことが多い | 目の表面の状態や、点眼薬の副作用がないかを確認する |
| 視野検査 | 段階に応じて定期的に | 見える範囲の移り変わりを追う |
| 眼底検査・OCT | 視野検査と同じく定期的に | 視神経や網膜の神経の厚みの変化を調べる |
| 隅角検査 | 初診のときや、必要に応じて | 緑内障のタイプや治療方針を確認する |
最終的な間隔は主治医が判断する
インターネット上の目安は一般的な傾向にすぎず、実際の受診間隔は主治医が一人ひとりの状態を見て決めるものです。
病状が進んでいる人や、生涯を通じた失明のリスクが大きい人には、より頻繁な検査が必要になることがあります。
例えば、眼圧が目標の値で安定している方と点眼薬を変えたばかりの方とでは、次の受診までの期間が違います。
示された間隔に疑問があるときは、その理由を診察で聞いてみると、通院する目的がはっきりするでしょう。
緑内障と診断されていない人の検査頻度

緑内障と診断されていない方は、40歳を目安に年1回の眼科検診を受け、リスクや健診の結果によっては、検査を始める時期を早めることが望ましいです。
ここでは、まだ診断されていない方が検査を受ける頻度と、始める時期の目安を説明します。
40歳を過ぎたら年1回の眼科検診が目安
緑内障と診断されていない方は、40歳を過ぎたら年に1回、眼科で眼底を含む検査を受けることが一つの目安になります。
日本視能訓練士協会の解説によると、日本眼科医会も40歳を過ぎたら年1回の定期的な眼科検診をすすめています。
厚生労働省の資料でも、40歳以上の5.0%に緑内障がみられるとされており、この目安を考えるうえで参考になるでしょう。
毎年同じ時期に検査を受ける習慣をつけておくと、わずかな変化も前の年と比べて確かめやすくなります。
近視や家族歴がある人は40歳前から
強度近視の方や血のつながった家族に緑内障の方がいる方は、40歳を待たずに眼科で検査を始めることを検討するとよいでしょう。
どちらも緑内障の発症に関わる要因として知られており、若いうちから視神経の状態を確かめておく意味が大きいためです。
最初の検査で異常がなかった場合も、次からの間隔は近視の程度や家族歴をふまえて医師が提案するため、自分で決めずに目安を聞いておくことが大切です。
ステロイド薬を長く使っている方も、薬を処方した医師と相談したうえで眼圧を測ってもらうと、変化に気づくきっかけになります。
健診で指摘されたら早めに精密検査を
職場の健診や人間ドックで「視神経乳頭陥凹拡大」「眼圧が高い」などを指摘されたら、次の健診を待たずに眼科で精密検査を受けることが望ましいです。
厚生労働省が示す定期健康診断の項目では、目の検査は視力だけです。そのため、眼底や眼圧について指摘を受けるのは、主に人間ドックなどで追加の検査を受けた場合です。
せっかく得られた手がかりを1年先まで持ち越すと、その間に病気が進んでいても確かめる機会がなくなってしまいます。
精密検査で異常がなければ、その結果をもとに、その後の検診の間隔を医師と決めておくとよいでしょう。
「緑内障の疑い」と言われた人の検査頻度

「緑内障の疑い」と言われた方の検査間隔は、疑いの程度やリスクによって幅があり、変化があるかどうかを見ながら調整されていきます。
ここでは、疑いの段階で受診を続けるときの考え方を解説します。
疑いの程度やリスクで間隔が変わる
「緑内障の疑い」と言われた場合の検査間隔は一律ではなく、見つかった変化の程度、眼圧の高さ、家族歴などのリスクによって変わります。
視神経の形に軽い特徴があるだけの方と、眼圧が高いうえに視野にわずかな異常がある方とでは、緑内障に移行する可能性の見立てが異なるためです。
疑いが強い場合は比較的短い間隔で再検査をすすめられ、変化が軽い場合は、間隔をあけて経過を見ることがあります。
疑いの段階は「治療が必要かどうかを見極める期間」と考え、指示された時期に再検査を受けることが大切です。
変化がなければ間隔を少しずつあける
何回か検査を受けても視神経や視野に変化がなければ、医師の判断で検査の間隔を少しずつあけていくことがあります。
疑いの段階では、1回の結果よりも、時間をおいた複数回の結果を比べることで「病気が進んでいる変化なのか」「もともとの目の特徴なのか」を見分けやすくなるためです。
例えば、生まれつき視神経のくぼみが大きい方は、経過を追っても変化がないとわかれば、緑内障ではない可能性が高まります。
間隔があいても経過観察が終わったわけではないため、次の予定を把握しておくことが望ましいです。
自己判断で受診をやめない
疑いの段階で症状がないと、「病気と決まったわけではないから」と通院をやめてしまう方もいますが、自分の判断でやめることは避けたいところです。
緑内障は自覚症状が少ないまま進むことがあり、定期的な検査をやめると、発症したかどうかを確かめる手段がなくなってしまうためです。
仕事の都合などで予定どおりに受診できなかったときは、次の受診日を改めて相談すれば、検査のあいだが空く期間をできるだけ短くできます。
通院を続けること自体が、疑いの段階でできる大切な備えになるでしょう。
緑内障の治療中の検査頻度

緑内障の治療中は、治療を始めた直後や変えた直後に受診が増えます。
眼圧が安定した後は、数か月ごとの通院と定期的な視野検査を組み合わせて経過を追います。
ここでは、治療中の検査頻度を時期ごとに説明します。
治療開始や点眼の変更後は早めに再診
点眼治療を始めたときや点眼薬の種類を変えたときは、比較的短い間隔で再び受診し、眼圧の下がり具合や副作用を確かめるのが一般的です。
治療を調整した後や片方の目しか見えていない方は、より短い間隔での受診が推奨されます。
点眼薬の効果には個人差があるため、実際に眼圧がどのくらい下がったかを測ってはじめて、その薬が合っているかを判断できます。
受診の回数が一時的に増えるのは、治療を自分の目に合わせるための期間と考えると、通院の意味をつかみやすいでしょう。
眼圧が安定すれば数か月ごとの通院が一般的
治療によって眼圧が目標の値で安定し、視野の悪化もみられない場合は、数か月ごとに通院して経過を見るのが一般的です。
米国眼科学会の診療指針では、目標の眼圧に達して悪化がなく、その状態が続いて6か月以内の場合、視神経や視野を含めた総合的な評価の間隔をおおよそ6か月としています。
実際の通院では、この評価とは別に、眼圧や点眼の状況を確かめる受診が組み合わされることがあり、間隔は医療機関や病状によって異なります。
安定している時期も、「その眼圧は点眼を続けているからこそ保たれている」という意識を持っておきましょう。
視野検査は診断初期ほど回数が多い
治療中の視野検査は、診断から間もない時期ほど回数を多くし、病気の進み方の速さを見極めるのが基本的な考え方です。
欧州緑内障学会のガイドラインを検証した報告によると、同学会は診断後の2年間で6回の視野検査を行うことを推奨しています。これは、進行の速い方を早い段階で見つけるための考え方です。
視野検査は、その日の体調や集中力によって結果がぶれることがあるため、何回かの結果を重ねて傾向を読み取る必要があります。
検査に慣れると結果が安定しやすくなるため、初めのうちに回数が多いことにも意味があると理解しておくとよいでしょう。
手術やレーザー治療の後は一時的に通院が増える
緑内障の手術やレーザー治療を受けた後は、眼圧の急な変化や合併症がないかを確かめるため、しばらく受診の回数が増えます。
手術の場合、術後の早い時期に眼圧が下がりすぎたり、炎症や感染が起こったりすることがあり、状態に合わせてこまめに確認する必要があるためです。
レーザー治療の後も、眼圧が一時的に上がっていないか、どのくらい効果が出ているかを確かめるための再診が設定されるのが一般的です。
術後の経過が落ち着けば、通常の治療中と同じような間隔に戻っていくことが多いでしょう。
定期的な検査が視野を守る理由

緑内障が進んでいるかどうかは、複数回の検査結果を比べてはじめて判断できます。そのため、検査の間隔と回数が、進行を見つける早さを左右します。
ここでは、定期的な検査が視野を守ることにつながる理由を解説します。
視野の変化は複数回の結果で判断する
視野が悪くなっているかどうかは、1回の検査ではなく、複数回の結果の移り変わりから判断します。
視野検査はその日の体調によって結果が上下することがあり、1回だけ悪い値が出ても、それが本当の進行なのか一時的なぶれなのかを区別できないためです。
そのため、検査結果を時系列に並べ、専用の解析で変化の傾きを読み取る方法が使われています。
過去の結果がたまっているほど判断の精度が上がるため、同じ医療機関で続けて検査を受けることにも意味があります。
間隔が空くと進行に気づくのが遅れる
検査の間隔が空きすぎると、視野が悪くなっていても、その変化に気づくまでに時間がかかってしまいます。
進行を確かめるには一定の回数の検査結果が必要で、回数が少ないほど、判断に必要な結果がそろうまでの期間が長くなるためです。診断後の早い時期の検査回数を多めに設定し、進行の速い方を見逃さないことが重要とされます。
予定の受診を先送りにした分だけ、治療を見直す機会も遅れると考えておくと、通院を優先しやすくなるでしょう。
進行が速い場合は検査間隔を短くする
検査で進行が速いと判断された場合は、検査の間隔を短くして、治療内容の見直しを検討します。
目標の眼圧に届いていない場合や悪化がみられる場合には、より短い間隔で評価を受けるのが望ましいです。
点眼薬の追加や変更、レーザー治療、手術など、次の手立てを早めに検討できることが、間隔を短くする利点です。
受診の回数が増えると負担に感じるかもしれませんが、その期間は治療方針を固めるための大切な時間ととらえるとよいでしょう。
緑内障の検査を続けるための予定管理

検査の予定や結果を自分でも把握しておくと、受診の漏れを防げるうえ、医師と相談しながら無理のない通院計画を立てやすくなります。
ここでは、検査を長く続けるための予定管理のコツを紹介します。
次回の受診日と検査内容を診察時に確認する
診察の最後には、次の受診日だけでなく、その日にどの検査を行う予定かも一緒に確認しておくことをおすすめします。
視野検査やOCTがある日は、いつもより時間がかかることが多く、仕事や家事の予定を調整しやすくなるためです。
予約票を受け取ったらスマートフォンのカレンダーに登録し、数日前に通知が届くよう設定しておけば、うっかり忘れを防げます。
視野検査の前日は十分に眠っておくなど、検査に向けた準備もしやすくなるでしょう。
検査結果を1枚の記録にまとめる
受診ごとの眼圧の値や、視野検査・OCTを受けた日付と結果の要点を1枚の記録表にまとめておくと、前回の検査からどのくらいたったかを自分でも確かめられます。
次のような項目で作ると、手間をかけずに続けやすいでしょう。
- 受診日と次の予約日
- 左右それぞれの眼圧の値
- 視野検査・OCTを受けた日と医師のコメント
- 使っている点眼薬と変更があった日
紙の表でもスマートフォンのメモでもかまいませんが、同じ形式で書き続けることが大切です。
転院や引っ越しのときも、この記録があれば、新しい主治医にこれまでの経過を伝えやすくなります。
通院が負担なら頻度や方法を医師に相談する
仕事や介護、通院にかかる距離などの理由で、決められた頻度で受診するのが負担になっているときは、ひとりで抱え込まずに主治医へ相談しましょう。
病状によっては、詳しい検査を行う日と眼圧だけを確かめる日を分けたり、受診する時間帯を工夫したりと、続けやすい形を一緒に考えられることがあるためです。
無理を重ねて通院が途切れてしまうより、実際に続けられる計画に調整するほうが、結果として視野を守ることにつながります
通院先が遠い場合は、自宅や職場の近くの医療機関を紹介してもらえないか相談するのも一つの方法です。
まとめ
緑内障の検査頻度は、「まだ診断されていない」「疑いがある」「治療中」という段階や進行のリスクによって変わり、最終的には一人ひとりの状態に合わせて主治医が決めます。
自分の段階と次の検査の目的を理解し、予定を管理しながら検査を続けることが、視野の変化を早くとらえ、見え方を守ることにつながるでしょう。
東武練馬駅から徒歩1分に位置するつつみ眼科クリニックでは、緑内障を担当する医師が、眼圧や視野などの検査結果の移り変わりを確かめながら、点眼治療からSLTレーザー治療まで続けて診療しています。
「前回の検査から間があいてしまった」「今の通院ペースが自分に合っているか知りたい」という方も、気軽に相談していただければ幸いです。