
「緑内障と診断されたけれど、自分がどのタイプなのかよくわからない」「種類によって治療や注意点が違うのか知りたい」と感じていませんか。
緑内障は、隅角の状態や眼圧が上がる原因によっていくつかのタイプに分かれます。自分のタイプを知ることで、症状の現れ方、治療の選び方、日常生活で気をつける点が見えてきます。
この記事では、緑内障の主な5つのタイプと、それぞれの症状や治療法を紹介します。
緑内障とは

緑内障は、視神経(目で受け取った光の情報を脳へ伝える神経)が傷むことで、見える範囲が少しずつ欠けたり、視力が下がったりする病気です。
日本緑内障学会の診療ガイドラインでは、視神経と視野に特徴的な変化があり、通常は眼圧を十分に下げることで視神経の障害を改善または抑制できる病気と定義されています。
また、厚生労働省の資料によると、40歳以上の5.0%に緑内障がみられ、日本人が生まれた後に失明する原因の第1位でもあります。
一度失われた視野は元に戻らないため、自分のタイプを知り、早い段階から適切な治療を続けることが大切です。
緑内障の基礎知識

緑内障を理解するには、視神経の障害、房水(目の中を満たす液体)の流れ、隅角という3つの仕組みを知ることが大事です。
ここでは、緑内障のタイプを理解するために欠かせない基礎知識を解説します。
視神経の障害で視野が狭くなる
緑内障で傷むのは、網膜のいちばん内側にある網膜神経節細胞と、そこから脳へ伸びる神経の線維です。
眼圧の上昇などでこれらの細胞や線維が傷むと、脳へ視覚の情報を送れなくなり、視野が欠けたり視力が下がったりします。
初期の視野の欠けはほとんど自覚できないことが多く、気づいたときには病気が進んでいるケースも少なくありません。
視神経は一度傷むと再生しないため、視野検査や眼底検査で早い段階の変化をとらえることが大切になります。
房水の流れが眼圧を左右する
眼圧は、目の中を満たす房水の量によって決まる、眼球の内側の圧力です。
房水は毛様体という組織でつくられ、水晶体や角膜に栄養を届けたあと、隅角を通って静脈へ流れ出ていきます。
つくられる量と出ていく量のバランスが崩れて房水が目の中にたまると、眼圧が上がり、視神経に負担がかかります。
ただし、眼圧が正常とされる範囲にあっても緑内障になる場合があるため、眼圧の値だけで判断することはできません。
隅角は房水の出口にあたる
隅角は、角膜と虹彩の付け根が接する部分にあり、房水を目の外へ出す出口の役割を担っています。
隅角には線維柱帯という網目状の組織と、その奥にあるシュレム管という管があり、房水はここを通って静脈へ戻ります。
隅角が広く開いているか、狭くふさがっているかによって緑内障のタイプが分かれるのが特徴です。治療法や日常生活で気をつける点も変わってきます。
隅角の状態は、隅角鏡という小さなレンズを目に当てて調べる隅角検査で確認できます。
緑内障の種類|主な5タイプ

緑内障は、隅角の広さと眼圧が上がる原因によって、主に5つのタイプに分けられます。
ここでは、それぞれのタイプの特徴を解説します。
原発開放隅角緑内障(隅角が広い)
原発開放隅角緑内障は、隅角が広く開いているのに房水が出ていきにくくなり、眼圧が上がるタイプです。
隅角の奥にある線維柱帯が目詰まりを起こすなどして、房水の流れが滞ると考えられています。
病名の「原発」は、ほかの病気や薬など、眼圧が上がる原因が見当たらないことを表しています。
進行がゆっくりで自覚症状が出にくいため、健診や眼科の検査で偶然見つかることが多いタイプです。
正常眼圧緑内障(眼圧が正常範囲)
正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲にあるにもかかわらず、視神経が傷んで視野が欠けていくタイプです。
広い意味では原発開放隅角緑内障に含まれます。日本の大規模な調査では、緑内障の方の多くで眼圧が正常範囲だったと報告されています。
眼圧が正常範囲でも、その人の視神経にとっては負担になっている可能性があると考えられています。
治療の基本は、ほかのタイプと同じく眼圧を下げることです。
原発閉塞隅角緑内障(隅角が狭い)
原発閉塞隅角緑内障は、虹彩が線維柱帯に触れて隅角がふさがり、房水が出ていけなくなって眼圧が上がるタイプです。
隅角が狭く、ふさがりやすい状態を「狭隅角」と呼びます。狭隅角の場合、何かのきっかけで隅角が急にふさがる可能性があります。
このタイプの方は、市販の風邪薬や鼻炎薬、検査や手術で使う薬の中にも使えないものがあるため、ほかの病気で受診するときは閉塞隅角緑内障であることを伝えておくことが大切です。
続発緑内障(他の病気や薬が原因)
続発緑内障は、ほかの目の病気や全身の病気、薬などが原因となって眼圧が上がるタイプです。
主な原因には、ぶどう膜炎(目の中の炎症)、糖尿病網膜症などでできる新しい血管(新生血管)、ステロイド薬の使用、けがや目の手術のあとの変化などがあります。
原因によって隅角が開いている場合と閉じている場合があり、眼圧の上がり方もさまざまです。
眼圧を下げる治療に加えて、原因となっている病気や薬への対応が必要になる点が、ほかのタイプとの大きな違いといえます。
発達緑内障(生まれつきの異常)
発達緑内障は、生まれつき隅角の発達に異常があり、房水が出ていきにくいために眼圧が上がるタイプで、主に子どもにみられます。
乳幼児期に発症した場合は、まぶしがる、涙が多い、黒目が大きく見える、黒目が濁るといった症状が現れることがあります。
一方、4歳以降に発症した場合は自覚症状が少なく、就学時健診などで片目の視力が低いことをきっかけに見つかることがあります。
子どもは見え方の異常を言葉で伝えにくいため、気になる様子があれば早めに眼科で相談しましょう。
緑内障の主な症状

緑内障の症状は、ゆっくり進んで気づきにくいタイプと、急に強い症状が出るタイプに大きく分かれます。
ここでは、タイプごとの症状の特徴を説明します。
開放隅角と正常眼圧は自覚しにくい
原発開放隅角緑内障と正常眼圧緑内障では、初期にはほとんど自覚症状がないまま、長い時間をかけて視野が欠けていきます。
片目の見えにくい部分をもう片方の目や脳が補うため、両目で生活していると視野の欠けに気づきにくいのです。
病気が進むと、だんだん見えにくくなる、まぶしく感じる、目が疲れやすいといった変化が現れることもあります。
自覚症状を手がかりに見つけることは難しいため、40歳を過ぎたら定期的に検査を受けることが早期発見につながります。
閉塞隅角は急性発作を起こすことも
原発閉塞隅角緑内障では、隅角が急にふさがって眼圧が急激に上がる「急性緑内障発作」を起こすことがあります。
発作が起きると、目の痛み、視力の低下、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。頭痛や吐き気が目立つため、目の病気と気づかずに内科などを受診するケースもあり、注意が必要です。
治療が遅れると短い期間で視力に大きな影響が出るおそれがあるため、こうした症状が出たときは、できるだけ早く眼科や救急外来を受診することが望ましいです。
続発型と発達型は原因への対応が加わる
続発緑内障と発達緑内障では、緑内障そのものの症状に加えて、原因となっている病気の症状が現れることがあります。
例えば、ぶどう膜炎による続発緑内障では目の充血や痛み、かすみなどが代表的な症状です。発達緑内障では、乳幼児期にまぶしさや涙の多さなどが目立つことがあります。
眼圧が急に上がる場合とゆっくり上がる場合があり、症状の出方は原因によってさまざまです。
そのため、眼圧を下げる治療に加えて、原因となる病気の治療や薬の見直しなど、原因に合わせた対応が必要になります。
緑内障の種類に応じた治療法

緑内障の治療は、薬物療法、レーザー治療、手術の3つが柱です。
いずれも眼圧を下げることが目的ですが、タイプによって選ばれる治療の順番や組み合わせが異なります。
ここでは、治療法の種類と、タイプ別の治療の選び方を解説します。
治療の基本は眼圧を下げること
緑内障の治療で、効果がはっきり証明されているのは眼圧を下げることだけです。
正常眼圧緑内障でも、もとの眼圧からさらに下げることで、進行が遅くなったり、ほとんど止まったりすることが確かめられています。
一方で、一度失われた視野を治療で取り戻すことはできず、多くの場合は一生にわたって治療を続ける必要があります。
治療の目的は見え方と生活の質を保つことにあり、どの治療を選ぶかは、診察で医師と相談しながら決めるのが基本です。
点眼薬で眼圧を下げる薬物療法
薬物療法は緑内障治療の中心で、主に眼圧を下げる点眼薬を使います。
点眼薬には作用の異なるさまざまな種類があり、複数の成分を組み合わせた配合点眼薬も使われています。
点眼薬によっては、充血、かゆみ、まぶたの炎症、一時的な視力の低下が起こることがあり、全身に副作用が出るものもあります。そのため、持病がある方は事前に医師へ伝えておくことが大切です。
効果や副作用の出方には個人差があり、合わない場合は薬の種類を変えることもできます。
タイプに応じて選ぶレーザー治療
レーザー治療は、薬に頼らずに眼圧を下げる方法として、タイプに応じて行われます。
- 開放隅角緑内障:線維柱帯にレーザーを当てて房水の流れをよくする「レーザー線維柱帯形成術」が代表的
- 閉塞隅角緑内障:虹彩に小さな穴を開けて房水の通り道をつくる「レーザー虹彩切開術」が代表的
ただし、レーザー治療にも合併症があり、レーザーだからリスクがないというわけではありません。
効果の大きさや続く期間には個人差があり、治療を受けるかどうかは診察で判断されます。
点眼やレーザーで不十分な場合の手術
手術は、点眼薬やレーザー治療で眼圧が十分に下がらない場合や、点眼を続けることが難しい場合に検討されます。
主な方法は2つあります。
- 濾過手術(線維柱帯切除術など):房水を目の外へ染み出させる通り道をつくる
- 流出路再建術:線維柱帯を切り開いて、もともとの排出路の流れをよくする
近年は、小さな器具を目の中に置く手術も行われています。
濾過手術では、眼圧の下がりすぎ、感染、出血などの合併症が起こることがあり、手術前より見え方が悪くなる可能性もあります。
手術が必要な理由、期待できる効果、リスクについて医師から十分に説明を受け、納得したうえで決めることが大切です。
タイプ別に異なる治療の選び方

緑内障の治療は、タイプによって最初に選ばれる方法や組み合わせが異なります。
例えば、閉塞隅角緑内障では白内障手術で隅角が広がり、眼圧の上昇を抑えられる可能性があります。
発達緑内障では薬が効きにくいため、手術が最初の選択肢になります。
主なタイプごとの治療の考え方は下の表のとおりです。
| タイプ | 治療の考え方 |
|---|---|
| 原発開放隅角緑内障 | 点眼薬から始めることが多く、効果が十分でない場合はレーザー治療や手術を検討します |
| 正常眼圧緑内障 | 正常範囲の眼圧を、点眼薬などでさらに下げて進行を抑えます |
| 原発閉塞隅角緑内障 | レーザー虹彩切開術や白内障手術で房水の通り道を確保し、必要に応じて点眼や手術を組み合わせます |
| 続発緑内障 | 炎症を抑える治療、網膜へのレーザー、ステロイド薬の減量など、原因への対応と眼圧を下げる治療を並行します |
| 発達緑内障 | 線維柱帯切開術などの手術が最初の選択肢で、薬は補助的に使います |
緑内障のタイプを自分で理解するコツ

自分の緑内障のタイプを正しく理解しておくと、治療の目的や注意点に納得したうえで通院を続けやすくなります。
ここでは、病名の読み解き方、医師への質問の例、記録の残し方を紹介します。
病名を分解して意味をつかむ
緑内障の病名はいくつかの言葉の組み合わせでできているため、言葉ごとに分けて見ると、自分のタイプの特徴がつかみやすくなります。
主な言葉の意味は次のとおりです。
- 原発:ほかの病気や薬など、眼圧が上がる原因が見当たらない
- 続発:ほかの目の病気や全身の病気、薬などが原因で起こる
- 開放隅角:房水の出口である隅角が広く開いている
- 閉塞隅角:虹彩が隅角をふさいでいる
- 正常眼圧:眼圧が正常範囲内にある
例えば、「原発閉塞隅角緑内障」なら、ほかに原因が見当たらず、隅角がふさがって眼圧が上がるタイプだと読み取れます。
病名の意味がわかると、市販薬に注意が必要かどうかなど、日常生活で気をつける点も理解しやすくなるでしょう。
医師に確認したい質問の例
緑内障と診断された場合、自分が閉塞隅角・狭隅角・開放隅角のどれにあたるのかを主治医に確認することをおすすめします。
質問の仕方がわからない方は、以下を参考にしてください。
- 私の緑内障はどのタイプですか
- 目標とする眼圧はどのくらいですか
- 今の視野はどの程度の段階ですか
- 使ってはいけない市販薬や、注意が必要な薬はありますか
- 次の検査はいつごろ受ければよいですか
すべてを一度に聞く必要はありません。気になる点から少しずつ確認していけば十分です。家族と一緒に受診し、説明を聞いてもらうのもひとつの方法です。
自分のタイプを通院メモに残す
医師から聞いた緑内障のタイプ、目標とする眼圧、使っている点眼薬の名前は、通院メモとして残しておくのがおすすめです。
閉塞隅角緑内障の方などは、ほかの病気で受診したときに、注射や点滴、検査で使う薬が問題になることがあります。
お薬手帳の余白やスマートフォンのメモに、病名、眼圧の移り変わり、次の検査の予定をまとめておくと、内科や歯科などを受診したときにも情報を伝えやすくなります。
記録を続けると治療の経過も振り返りやすくなり、通院を続ける励みにもなるでしょう。
まとめ
緑内障には主に5つのタイプがあり、隅角の状態や眼圧が上がる原因によって、症状の現れ方や治療の選び方が異なります。
どのタイプでも治療の基本は眼圧を下げることです。自分のタイプを理解したうえで治療と通院を続けることが、今の視野を保つことにつながります。
つつみ眼科クリニックの緑内障外来では、緑内障を担当する医師が、検査の結果をもとに一人ひとりの緑内障のタイプを見極め、点眼治療からSLTレーザー治療まで、タイプに合った治療の選択肢を一緒に考えています。
「自分がどのタイプなのか知りたい」「今の治療が合っているか相談したい」と感じたときは、東武練馬駅から徒歩1分の当院までお気軽にお越しください。