緑内障は予防できる?発症のリスクや進行を防ぐためにできることを紹介

高齢女性と眼科の検査機器

「家族が緑内障と診断された」「健診で眼圧が高めと言われた」とき、将来の見え方を守るために今から何ができるのか、不安に感じる方は少なくありません。

緑内障は、発症そのものを防ぐ方法こそ限られていますが、リスクに応じた検査や治療によって、発症を遅らせたり進行を抑えたりできる場合がある病気です。

この記事では、緑内障の予防を3つの段階に分けて整理し、リスクの見極め方から検診の受け方、診断後の進行予防までを紹介します。

緑内障の予防は3つの段階で考える

緑内障の3段階の予防法をイメージした画像

緑内障の予防は、発症を防ぐことだけではありません。早く見つけて治療することや、失明に至らないよう進行を抑えることまで含めて考えるのが基本です。

ここでは、予防の3つの段階について解説します。

発症そのものを防ぐ方法は限られている

緑内障にならないための予防(一次予防)には、一部のリスクがある方への治療を除き、確立した方法がないのが現状です。

緑内障は、視神経(目で受け取った情報を脳へ伝える神経)が傷む病気です。

加齢、遺伝的な体質、近視による眼球の形の変化など、自分では変えにくい要因が発症に関わっています。

ただし、眼圧が高い方や隅角が狭い方など、特定のリスクがある場合は、発症する前から予防のための治療を検討できることもあります。

自分がどのリスクに当てはまるかを知ることが、予防を考える出発点になります。

早期発見で視野を守る「二次予防」

緑内障予防の中心は、症状が出る前に病気を見つけて治療を始める「二次予防」です。

一度傷んだ視神経は元に戻らないため、見つかった時点でどれだけ視野が残っているかが、その後の見え方を大きく左右します。

厚生労働科学研究の報告書によると、18歳以上で新たに視覚障害の認定を受けた方の原因となった病気は、緑内障が40.7%で1位でした。

自覚症状のない段階で検査を受けることが、将来の視力を守る現実的な予防策といえます。

失明を防ぐ「進行予防」も予防の一つ

緑内障と診断された後も、治療で進行を抑え、日常生活に支障が出る段階まで進まないようにすることは、大切な予防の一つです。

緑内障の多くはゆっくり進む病気で、眼圧を下げる治療によって進行を遅らせることができます。

診断を受けたからといって、予防の意味がなくなるわけではありません。治療を続けることが、そのまま失明の予防につながるため、診断後の方もご自身の段階に合った予防に目を向けることが望ましいです。

緑内障予防の第一歩はリスクを知ること

目を押さえる高齢男性

緑内障のリスクには、年齢、家族歴、近視の程度、使っている薬などがあります。

自分に当てはまる要因を知っておくと、いつ検査を受ければよいかの見通しが立てやすくなります。

ここでは、特に知っておきたい3つのリスクを紹介します。

40歳以上や家族歴がある人

緑内障は年齢とともに増える病気で、40歳を過ぎたら誰もが気にかけておきたい病気の一つです。

厚生労働省の資料では、40歳以上の5.0%、およそ20人に1人に緑内障がみられるとされています。

親やきょうだいに緑内障の方がいる場合も発症しやすい傾向が知られているため、20〜30代のうちから気にかけておくとよいでしょう。

家族の診断をきっかけに不安を感じたときは、早めに検査を受けるよい機会だと考えることが大切です。

強度近視の人

強度近視の方は、近視でない方に比べて緑内障を発症しやすいことが知られています。

強度近視では眼球が前後に長く伸びているため、視神経の出口の部分が引き伸ばされ、傷みやすくなると考えられているからです。

さらに、強度近視による眼底の変化は、緑内障による変化と見分けにくいことがあり、専門的な検査で慎重に判断する必要があります。

近視は20〜30代にも多いため、「ただの近視」と考えず、一度眼科で視神経の状態を確認しておくことが望ましいです。

ステロイド薬を使っている人

ステロイド薬(炎症を抑える薬)を使っている方は、薬の影響で眼圧が上がり、緑内障を発症する場合があります。

眼圧が上がる可能性があるのは点眼薬だけではありません。飲み薬、吸入薬、塗り薬でも起こることがあり、上がり方には個人差があります。

アトピー性皮膚炎、ぜんそく、膠原病などで長く使っている方は、定期的に眼圧を測っておくと、変化に早く気づけるでしょう。

自分の判断で薬をやめると持病が悪化するおそれがあるため、薬を処方した医師と眼科の医師の両方に相談しながら管理することが大切です。

発症前からできる緑内障の予防策

検査機器の前で目についての説明を受ける女性

リスクが高いと判断された方は、発症する前から点眼治療やレーザー治療を検討できる場合があります。

一方で、生活習慣で予防できるという十分な根拠はありません。

ここでは、根拠のある予防策と、その限界について解説します。

高眼圧症は点眼治療で発症を遅らせられる場合も

眼圧が正常範囲より高いものの、視神経や視野には異常がない状態を「高眼圧症」といいます。

高眼圧症の方は、点眼治療によって緑内障の発症を遅らせられる場合があります。

海外で行われた大規模な臨床試験(OHTS)では、眼圧を下げる点眼薬を使うことで、緑内障の発症を遅らせたり防いだりする効果が報告されています。ただし、高眼圧症の方がみな緑内障になるわけではありません。

治療を始めるかどうかは、眼圧の値、角膜の厚さ、年齢などをふまえて判断するのが一般的です。

点眼薬には充血などの副作用もあるため、経過を見るか治療を始めるかは、医師と相談して決めることが望ましいです。

隅角が狭い人は予防的レーザー治療の選択肢も

隅角(目の中の水が外へ流れ出る出口)が狭い方は、発症前にレーザー治療を受けることで、閉塞隅角緑内障を予防できる場合があります。

日本緑内障学会の「緑内障診療ガイドライン(第5版)」でも、レーザー虹彩切開術(虹彩に小さな穴を開け、水の通り道を作る治療)は、閉塞隅角緑内障の発症を予防する治療と位置づけられています。

白内障の手術が向いている方の場合は、水晶体を取り除く手術も、水の通り道を確保する方法の一つです。

治療には、一時的な眼圧の上昇や角膜への影響などが起こる可能性もあるため、治療を受けるかどうかは、隅角検査の結果をもとに診察で判断されます。

生活習慣だけで防げるという根拠は乏しい

食事、運動、睡眠などの生活習慣を見直すだけで緑内障を防げるという十分な根拠は、現時点では示されていません。

特定の食品やサプリメントについても、緑内障の発症を防ぐことが確かめられたものはありません。

生活習慣を整えることは全身の健康にとって意味があります。ただ、それだけで予防できると考えて検査を先延ばしにすると、発見が遅れるおそれがあるため、緑内障の予防では、定期的な検査で目の状態を確かめることを優先するとよいでしょう。

早期発見で進行を防ぐ緑内障検診

緑内障検診をイメージしたイラスト 目を虫眼鏡で覗き込んでいる眼科医、目薬

早期発見のためには、40歳を目安に眼圧・眼底・視野の検査を組み合わせて受け、リスクに合った間隔で続けることが欠かせません。

ここでは、検診を受ける時期、検査の内容、受診間隔の考え方を説明します。

40歳を過ぎたら一度検査を受ける

緑内障を早く見つけるために、40歳を過ぎたら、症状がなくても一度眼科で検査を受けることをおすすめします。

初期の緑内障では、片目の見えにくい部分をもう片方の目や脳が補うため、自覚症状がほとんどないまま進むのが特徴です。

家族歴や強度近視など、先に紹介したリスクに当てはまる方は、40歳より前に受診を検討してもよいでしょう。

見え方に問題を感じない時期だからこそ、検査を受ける意味があります。

眼圧だけでなく眼底・視野も調べる

緑内障の方の多くは眼圧が正常範囲であることがわかっており、眼圧検査だけでは見逃されるおそれがあります。

そのため、眼科では視神経の形、網膜の神経の厚み、見える範囲などを複数の検査で調べ、その結果を総合して判断するのが一般的です。

主な検査は次のとおりです。多くの場合は健康保険が適用されますが、費用は検査の内容や自己負担の割合によって異なります。

検査わかること特徴
眼圧検査目の内側の圧力短時間で終わり、痛みはほとんどありません
眼底検査・OCT視神経の形や、網膜の神経の厚みOCT(光干渉断層計)で、神経が薄くなった部分を詳しく調べます
視野検査見える範囲と、欠けている部分光が見えたらボタンを押して、視野の欠け方を確認します
隅角検査目の中の水の出口の広さ予防的なレーザー治療が必要かどうかの判断にも役立ちます

健診で指摘されたら精密検査を受ける

会社や自治体の健診で「視神経乳頭陥凹拡大」や「眼圧が高め」と指摘されたら、眼科で精密検査を受けることが望ましいです。

視神経乳頭陥凹拡大とは、視神経の中心にあるくぼみが大きくなっている状態で、緑内障の初期にみられる変化の一つです。

ただし、生まれつきくぼみが大きい方もいるため、指摘を受けても緑内障とは限りません。

精密検査で緑内障かどうかを確かめておけば、よけいな心配を減らせますし、治療が必要な場合は早く始められます。

受診間隔はリスクに合わせて決める

検診を受ける間隔は一律に決まっておらず、年齢、リスク、検査の結果によって変わります。

医師は、家族歴、近視の程度、眼圧の値、視神経や視野の状態などを総合して、次の検査の時期を判断するためです。

例えば、異常がなかった方と「緑内障の疑いがある」と言われた方とでは、経過を見る必要性が違うため、すすめられる間隔にも差が出ます。

仕事や家庭の予定も含めて医師と相談し、無理なく続けられる受診の計画を立てることが望ましいです。

診断後に失明を防ぐための進行予防

目の構造のイラスト

緑内障と診断された後は、眼圧を下げる治療を続けることが、失明を防ぐ進行予防の中心になります。

急な症状への備えも欠かせません。ここでは、診断後にできる進行予防について解説します。

眼圧を下げる治療が進行予防の基本

緑内障の進行を抑える方法として現在確立しているのは、眼圧を下げる治療です。

眼圧が正常範囲の緑内障でも、眼圧をさらに下げることで進行を遅らせられると考えられています。

治療は点眼薬から始めることが多く、効果が十分でない場合は、レーザー治療や手術を検討します。

どの治療が合うかは、緑内障のタイプや進み具合によって異なるため、診察で医師と相談しながら決めていきます。

点眼を続けることが視野を守る

点眼治療の効果を得るためには、処方された目薬を毎日、決められた回数さし続けることが大切です。

点眼を自分の判断でやめると眼圧が再び上がり、気づかないうちに視野の障害が進むおそれがあるためです。

点眼薬では、充血、かゆみ、まぶたの色素沈着などの副作用が出ることがありますが、薬の種類や回数を調整できる場合もあります。

副作用やさし忘れに悩んだときは、ひとりで抱え込まずに医師へ相談しましょう。

急な目の痛みや吐き気はすぐ受診する

目の強い痛み、頭痛、吐き気とともに急に見えにくくなった場合は、急性緑内障発作の可能性があるため、できるだけ早く眼科を受診することが望ましいです。

急性緑内障発作は、隅角が急にふさがって眼圧が急激に上がる状態で、治療が遅れると、短い期間で視力に大きな影響が出るおそれがあります。

頭痛や吐き気が目立つため、目の病気と気づかずに内科などを受診するケースもあります。

夜間や休日に症状が出たときも、様子を見ずに救急外来へ相談しましょう。

緑内障予防に役立つ準備

緑内障予防について話している母と娘

家族歴や健診結果などの情報を事前にまとめておくと、医師がリスクを正確につかみやすくなります。

予防のための検査や受診間隔を決めるときにも役立ちます。

ここでは、受診前に準備しておきたい2つのポイントを紹介します。

家族歴は親族への確認から始める

緑内障は自覚症状が少ないため、家族が診断を受けていても、周りに話していない場合があります。

親族に直接聞いてみることが、家族歴を知る第一歩です。帰省や家族の集まりなど、話しやすい機会に次の点を聞いてみましょう。

  • 緑内障と言われたことがある親族(親、きょうだい、祖父母など)
  • 診断を受けたときの、おおよその年齢
  • 点眼治療、レーザー治療、手術を受けたことがあるか

すべてがわからなくても、わかる範囲の情報が、医師が遺伝的なリスクを判断する材料になります。

聞いた内容をスマートフォンのメモなどにまとめておくと、受診のときに伝えやすいでしょう。

健診結果とお薬手帳を持参する

健康診断の結果とお薬手帳は、眼科を受診するときに一緒に持っていくことをおすすめします。

健診で測った眼圧や眼底写真の所見、血圧や血糖値などの情報は、目の状態の変化やリスクを考える手がかりになるためです。

お薬手帳があれば、ステロイド薬など眼圧に影響する可能性のある薬を使っているかどうかを、医師がその場で確認できます。

数年分の健診結果をまとめておくと数値の移り変わりもわかり、限られた診察時間を有効に使えるでしょう。

まとめ

緑内障の発症そのものを防ぐ方法は限られています。それでも、リスクを知り、40歳を目安に検査を受け、必要に応じて予防のための治療や進行を抑える治療を続けることで、将来の見え方を守ることにつながります。

「見えているうちに検査を受ける」ことが、緑内障予防の身近で大切な一歩です。

つつみ眼科クリニックでは、緑内障を担当する複数の医師が、検査から治療まで続けて診療しています。

点眼治療に加えて、眼圧を下げるSLTレーザー治療にも対応しています。

東武練馬駅から徒歩1分と通いやすい環境にありますので、家族に緑内障の人がいる方や、健診で指摘されて気になっている方は、当院までお気軽にご相談ください。