緑内障と白内障の併発について|症状の違いと手術を検討するポイント

緑内障と白内障の目のイラスト

「白内障のせいで見えにくいと思っていたら、緑内障もあると言われた」「手術は一度に受けられるのだろうか」と、二つの病名を聞いて戸惑う方もいるでしょう。

見え方の変化だけで原因を分けるのは難しく、治療の順番や同時手術の適応も、目の状態によって異なります。

この記事では、緑内障と白内障が併発する理由や検査内容、手術と術後の通院について紹介します。

緑内障と白内障はなぜ併発するのか

緑内障の見え方と白内障の見え方のイメージ画像

緑内障は視神経が障害され、見える範囲に欠けが生じる病気です。

白内障は目の中で光を通す水晶体が濁り、視界のかすみやまぶしさなどが現れる病気です。

ここでは、二つの病気が同じ目に見つかる背景と白内障の状態が眼圧に影響する場合について説明します。

どちらも加齢とともに増える病気

緑内障と白内障は、加齢に伴って同じ時期に見つかることがあります。

緑内障では視神経に変化が生じ、白内障では光を通す水晶体が濁るため、病気が起きる場所は異なります。

両方あると言われても、直ちに「一方がもう一方の原因になった」と考える必要はありません。

まずは、それぞれが現在の見え方にどの程度関わっているかを検査で確かめることが大切です。

白内障が眼圧を上げる場合がある

白内障が進み、水晶体が厚くなるなどの変化が起きると、眼圧の上昇に関わる場合があります。

水晶体は、房水(目の中を循環する液体)の出口にあたる隅角の広さに影響するためです。

特に、水晶体の膨らみや位置の異常が隅角閉塞につながる例や、成熟した白内障の水晶体成分が眼圧上昇に関わる例があります。

ただし、これはすべての白内障に当てはまる話ではなく、原因や治療法は隅角などの検査結果から判断されます。

検査を通して併発に気づくことが多い

白内障の相談をきっかけに受けた検査で、緑内障も見つかることがあります。

緑内障による視野の変化は初期には自覚しにくく、白内障によるかすみが先に気になりやすいためです。

例えば、手術前の眼底検査で視神経の変化が疑われれば、視野検査などで詳しく調べます。

「かすみだけを治せば見え方の問題がすべて解消するのか」を手術前に確認しておくことが重要です。

緑内障と白内障の症状の見分け方

視野の欠けは緑内障、かすみやまぶしさは白内障を考える手がかりになりますが、症状だけで診断はできません。

ここでは、受診時に伝えたい見え方の違いを説明します。

緑内障は視野の欠けが中心

正常な目と緑内障の目のイラスト

緑内障では、視神経が傷むことで視野の一部が欠け、進行すると視力にも影響することがあります。

初期は欠けた部分を自覚しにくいため、文字が読めていても「片目で見ると景色の一部が見えにくい」「物を見落とす」といった変化に気づく場合があります。

「いつから、どちらの目で、どのように見えにくいか」は診察時に伝える材料になりますが、こうした症状だけで白内障と見分けることはできません。見え方に自覚的な変化がなくても、緑内障の状態は視野検査と視神経の検査を組み合わせて確認します。

白内障はかすみ・まぶしさが中心

正常な目と白内障の目のイラスト

白内障では、「視界がぼやける」「全体がかすむ」「光をまぶしく感じる」といった困りごとが現れます。

水晶体の濁りによって、目の奥へ届く光が妨げられたり、散乱したりするためです。

例えば、「眼鏡を合わせても文字が読みづらい」「車のライトが以前より気になる」など、生活の中で感じた変化を伝えると治療を考える材料になります。

ただし、似た症状はほかの目の病気でも起こるため、白内障だけが原因とは決めつけられません。

両方の症状が重なり自覚しにくい

緑内障と白内障が併発していると、「どちらが見えにくさの原因か」を自分で切り分けることは難しくなります。

白内障による濁りは視野検査の結果にも影響するため、検査値だけを見て緑内障の進行を判断できない場合があるからです。

白内障手術でかすみが軽くなっても、緑内障による視野の障害が残る可能性はあります。

手術前に期待できる変化と、残りうる見えにくさを分けて医師に確認しましょう。

緑内障と白内障の併発時に行う検査内容

目の模型を持って患者に説明している眼科医

併発時の検査では、水晶体の濁りと視神経の障害をそれぞれ評価し、眼圧や隅角も調べます。

ここでは、治療方針を決めるために何を確かめるのかを説明します。

水晶体の濁りと視神経を分けて診る

白内障による見えにくさを考える際は、水晶体の濁りを観察するとともに、緑内障による視神経の変化も調べます。

水晶体は細隙灯顕微鏡(光を当てて目の中を拡大して見る機器)で確認し、視神経は眼底検査やOCT(網膜などの断面を撮影する検査)で評価します。

濁りが強いと目の奥の観察や画像検査が難しくなる場合もあり、得られた結果の読み方には注意が必要です。

手術を考えるときは、白内障だけでなく、緑内障の評価がどこまでできているかも尋ねておくとよいでしょう。

眼圧・視野・隅角も確認する

手術の方法を考えるには、眼圧の値に加え、視野の状態と隅角の開き具合を確認する必要があります。

隅角が狭い場合と開いている場合では、眼圧が上がる仕組みも、検討する治療も異なるためです。

視野検査は緑内障の経過を追う資料になりますが、白内障の濁りが結果に影響していないかも合わせて読み取ります。

眼圧だけで「白内障手術を先にするか、緑内障手術も行うか」を決めるわけではありません。

白内障と緑内障の同時手術の考え方

目の手術の様子

両方の病気があっても、必ず同時に手術するわけではありません。

ここでは、同時に行う利点と留意点、別々の治療が検討される理由を整理します。

緑内障の状態に応じて同時手術を検討する

白内障手術が必要で、緑内障にも手術による眼圧下降が必要な場合は、白内障と緑内障の同時手術が選択肢になることがあります。

判断に関わるのは、緑内障の進行度や現在の眼圧、必要な眼圧下降の程度、隅角の状態などです。

緑内障が重症ではなく、点眼薬やレーザー治療によって眼圧がコントロールされている場合は、白内障手術を単独で行い、術後の眼圧を確認しながら経過を見ることがあります。

一方、使用している点眼薬が多く負担になっている場合や、点眼薬によるアレルギーがある場合、白内障手術を計画する段階で緑内障の進行が確認された場合などには、緑内障手術を同時に行うことがあります。

緑内障の重症度だけでなく、全身状態なども考慮しながら、患者さんに適した術式を検討します。

手術回数を減らせる点が利点

同時手術を選ぶ利点の一つは、二つの手術を別の日に受けずに済むことです。

仕事や家族の予定を調整する回数を減らせる可能性があり、通院の負担が気になる方には検討材料になるでしょう。

一方、同時に行えば緑内障の点眼をやめられる、あるいは希望どおりの眼圧になるとは限りません。

手術回数だけでなく、必要な眼圧下降が得られる見込みも含めて比較することが望ましいです。

手術時間が延びる点は留意点

緑内障手術を組み合わせる場合は、白内障手術だけを受ける場合より、処置が増えることを踏まえて説明を聞く必要があります。

追加する術式によって手術時間や術後の管理が異なり、出血、炎症、一時的な眼圧変動などを確認することもあるためです。

ただし、どれほど時間が変わるかを一律には示せず、「同時手術だから合併症が多い」とも単純には言えません。

予定されている術式に即して、手術時間、考えられる合併症、術後の受診予定を確認しましょう。

重症の緑内障では術式を慎重に検討する

緑内障が重症で、点眼薬やレーザー治療を行っても十分な眼圧下降が得られない場合は、白内障手術と線維柱帯切除術の同時手術を検討することがあります。

線維柱帯切除術は、房水を眼外へ流す新たな経路をつくり、眼圧を下げることを目的とした手術です。

ただし、白内障手術との同時手術では眼圧コントロールの成績に影響する可能性も報告されているため、緑内障の状態や白内障手術による視機能改善の必要性などを踏まえて適応を判断します。

また、線維柱帯切除術では術後の眼圧や濾過胞などの慎重な管理が必要となるため、当院では必要に応じて入院設備のある医療機関での治療をご案内します。

同時手術で使われる主な術式

目の手術のイラスト

同時手術では、白内障に対する処置に、病状に合った緑内障手術を組み合わせます。

ここでは、手術の内容と眼内レンズを選ぶ際の視点を紹介します。

白内障手術は水晶体を砕いて入れ替える

一般的な白内障手術では、濁った水晶体の中身を超音波で細かくして取り除き、眼内レンズを入れます。

目的は水晶体の濁りによるかすみなどへの対応であり、緑内障で失われた視野を戻す手術ではありません。

水晶体が隅角を狭くしている場合には、その摘出によって眼圧が下がることがあります。 

ただし、白内障手術後の眼圧変化には個人差があり、緑内障治療が不要になるとは限りません。

白内障手術と流出路再建術の同時手術について

以下のようなケースに該当する場合、白内障手術と流出路再建術の同時手術を検討することがあります。

  • 緑内障が重症ではないものの、点眼薬の使用本数が多く負担になっている場合
  • 点眼薬によるアレルギーがある場合
  • 緑内障の進行に伴ってさらなる眼圧下降が必要な場合など

流出路再建術は、房水の排出経路である線維柱帯に処置を行い、房水の流れを改善することで眼圧を下げる手術です。

濾過手術とは異なり、もともとある房水の流出経路を利用する比較的低侵襲な術式で、入院設備を持たない当院でも実施しています。ただし、十分な眼圧下降が得られない場合や、術後に一時的な出血などが生じることがあります。

つつみ眼科クリニックでは、白内障手術と流出路再建術を組み合わせた同時手術に対応しており、緑内障の進行度や眼圧、点眼治療の状況などを確認したうえで適応を判断します。

緑内障の程度を踏まえて眼内レンズを選ぶ

眼内レンズは、読書や運転などの生活上の希望に加え、緑内障による視野障害や見え方への影響も踏まえて選びます。

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズでは焦点の合い方が異なり、多焦点眼内レンズには、入ってきた光を複数の焦点に振り分ける構造を持つものがあります。

レンズの種類によっては、単焦点眼内レンズと比べてコントラスト感度が低下する可能性があるため、見え方の違いを理解したうえで選択することが重要です。

特に緑内障による中心視野への影響がある場合は、こうした特性によって見えにくさを感じる可能性があるため、多焦点眼内レンズの適応を慎重に判断します。

近年の傾向について

近年はさまざまな特性を持つ眼内レンズがあり、緑内障による視野障害が限定的な場合には、目の状態を確認したうえで多焦点眼内レンズを選択できることもあります。

重症の緑内障では、コントラスト感度など見え方の質を考慮し、単焦点眼内レンズを選択することがあります。

白内障の状態だけでなく、緑内障の進行度や視野障害の程度、患者さんの生活スタイルなどを総合的に確認し、適した眼内レンズを検討することが大切です。

併発後の通院で意識したいこと

目の模型を使って説明している眼科医

白内障の手術を終えて見え方が変わっても、緑内障の管理が終わるわけではありません。

ここでは、術後の検査と点眼について押さえたいことを説明します。

術後も緑内障の経過観察は続く

白内障手術後も、緑内障については眼圧や視野、視神経の変化を追う必要があります。

水晶体の濁りがなくなると検査結果の見え方が変わることもあり、術前後の結果を単純に比べられない場合があるためです。

術後の検査で新たな状態を確認し、その後の経過観察に生かします。

手術後にかすみが改善したとしても、次の緑内障検査の予定を確認しておきましょう。

点眼の継続が視野を守る前提になる

手術後に緑内障の点眼を続けるかどうかは、術後の眼圧と視野の状態によって決まります。

白内障手術や同時手術を受けても、目標眼圧を維持するために点眼が必要な場合があるからです。反対に、診察の結果を踏まえて薬の種類や本数を見直すこともあります。

術後の目薬には炎症を抑えるものなどもあるため、用途を確認し、自己判断で緑内障の点眼を中断しないようにしましょう。

医師に対する質問事項のまとめ方

男性の目を調べている眼科医

受診前に困りごとや質問を整理すると、症状の原因や手術方針について相談しやすくなります。

ここでは、診察で使えるメモの作り方を紹介します。

症状の変化を種類別に書き分ける

見えにくさは「かすむ・まぶしい」と「一部を見落とす」などに分けて記録すると、医師に伝えやすくなります。

ただし、書き分けた内容から自分で病名を決めるためのものではありません。

気づいた時期、左右の違い、読書や運転で困った場面も添えると、検査結果と生活上の悩みを照らし合わせやすくなります。

急な強い目の痛みや頭痛、吐き気を伴う視力低下があれば、メモを完成させるより先に、速やかに眼科または救急へ相談することが望ましいです。

手術の説明で聞いておきたい項目

手術の説明では、「何を改善する手術か」と「何が手術後も残りうるか」を分けて尋ねることが大切です。

白内障によるかすみと緑内障による視野障害では、手術後に期待できる変化が異なります。

質問を考える際は、次の表を手がかりにするとよいでしょう。

確認したいこと質問の例
手術の順番白内障だけ先に手術する場合と、同時手術をする場合では何が違いますか
緑内障への効果私の目標眼圧に対して、この術式では何を見込んでいますか
見え方手術後も残る可能性がある見えにくさは何ですか
合併症と通院私の場合に注意する合併症と、術後の受診予定は何ですか
点眼と費用緑内障の点眼は続きますか。術式と眼内レンズごとの費用・保険の扱いはどうなりますか

すべてをその場で理解しようとせず、気になった答えを持ち帰って整理する方法もあります。

治療の適応や費用は選ぶ術式・レンズなどによって異なるため、提示された内容を個別に確認しましょう。

まとめ

緑内障と白内障が併発していても、症状だけで見えにくさの原因を分けることは難しく、検査で両方の状態を評価する必要があります。

同時手術が適するかどうかは、緑内障の型や進行度、白内障の状態をもとに判断され、手術後も緑内障の経過観察は続きます。

つつみ眼科クリニックでは、緑内障を併発している方の白内障手術に対応し、緑内障を担当する医師による診療やSLTレーザー治療も行っています。

「手術でかすみはどう変わるのか」「その後の眼圧管理はどうなるのか」という不安を抱えている方は、お気軽に当院までご相談ください。