年齢を重ねて見えにくくなると、「老眼かな」と考える方もいるでしょう。
しかし、「最近、視界がかすむ」「以前よりライトがまぶしく感じる」といった見え方の変化がある場合は、白内障が原因かもしれません。
この記事では、白内障になるとどのような見え方になるのか、代表的な症状や進行度・タイプによる違いを詳しく解説します。
白内障かもしれないと感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
白内障とは?

白内障とは、目の中でカメラのレンズのような役割をする「水晶体」に濁りが生じる病気です。
正常な水晶体は透明で、目に入った光を通して網膜に像を結びますが、濁ると光が通りにくくなったり、目の中で光が散乱したりするため、かすみや視力低下、まぶしさなどの症状が起こります。
糖尿病、アトピー性皮膚炎、外傷、ステロイド薬などが関係しているケースもありますが、ほとんどの原因は「加齢」です。
時期や程度は異なるものの白内障は誰にでも起こる可能性があり、自然な老化現象ともいえます。
▶白内障の原因は加齢だけじゃない?予防方法や手術について紹介
白内障になるとどんなふうに見える?8つの見え方・症状

白内障になると、以下のようにさまざまな見え方の変化が起こります。
- 霧がかかったようにかすむ・ぼやける
- 光をまぶしく感じる
- ライトや街灯がにじんで見える
- 物が二重・三重に見える
- 黄色っぽく見える・色を区別しにくくなる
- 眼鏡の度が合わなくなる
- 視力が低下する
- 一時的に以前より近くが見えるようになることもある
ここからは、それぞれの見え方について詳しく解説します。
霧がかかったようにかすむ・ぼやける
白内障でよくみられる症状の一つが、視界がかすんだり、物の輪郭がぼやけたりする見え方です。
これは水晶体の濁りによって光が乱反射することで起こり、「視界全体が何となく白っぽい」「眼鏡をかけてもすっきり見えない」などと感じることもあります。
光をまぶしく感じる
白内障では、これまでよりも日差しや照明を強くまぶしいと感じる「羞明(しゅうめい)」が起こることがあります。
水晶体に濁りができると、入ってきた光が目の中で散らばりやすくなるためです。
特に、晴れた日の屋外や車のヘッドライトなどで変化を感じやすいでしょう。
ライトや街灯がにじんで見える
夜間に車を運転しているときなどに車のヘッドライトや街灯の光がにじんだり、周囲に広がって見えたりすることもあり、これも水晶体の濁りによって光が散乱するために起こる見え方の変化です。
暗い場所や夜間では、目に入る光を増やそうとして瞳孔(黒目の中央)が大きくなります。
すると、濁った部分を通る光が増えるため、「昼間はあまり不自由を感じないのに、夜だけ見えづらくなる」と感じる方もいます。
物が二重・三重に見える
ものが二重や三重に重なって見える「複視」も、白内障で見られる症状です。
水晶体の濁りが均一ではなくなることで、目に入った光の進行方向が変わり、像が複数に重なって見えます。
黄色っぽく見える・色を区別しにくくなる
白内障では、白い壁や景色が以前より黄色っぽく感じられたり、色を区別しにくくなったりすることがあります。
進行に伴い水晶体が黄色く濁ったり、光がうまく通らなくなることが影響しています。
末期ではコントラスト(明暗の差)が著しく低下し、「薄暗い場所で見えにくい」「階段の段差や境目がわかりにくい」といった症状が起こることもあり、転倒リスクが上昇するため注意が必要です。
眼鏡の度が合わなくなる
白内障が進行すると、水晶体の屈折率が変化し、眼鏡の度数が合わなくなることがあります。
「これまで問題なく使えていた眼鏡が急に見えにくくなった」「短期間で度数が変わった」という場合は、眼科で相談してみましょう。
視力が低下する
白内障が進むにつれて、水晶体を通過する光が網膜へ届きにくくなり、徐々に視力低下が起こります。
ただし、初期の場合は自覚症状がほとんどないことが多く、視力低下も軽度であるため「疲れ目や老眼かな」と見過ごされがちです。
濁りが広がると文字や人の顔などが見えにくくなり、日常生活に大きな支障をきたすこともあるため、見えにくさが続く場合には原因を調べてもらいましょう。
一時的に以前より近くが見えるようになることもある
核白内障では、水晶体の屈折力が変化して近視が強くなり、「前よりも近くが見やすくなった」と感じることがあります。
老眼が改善したように感じるかもしれませんが、白内障がさらに進むと視力低下につながるため注意しましょう。
進行度別│白内障の見え方の違い

白内障の多くを占める加齢性白内障は、数年かけてゆっくり進行していくことが特徴です。
軽度のうちは自覚症状がないこともありますが、進行すると、かすみやまぶしさ、視力低下などが目立つようになります。
ここでは見え方の変化をわかりやすくするため、「初期・中期・末期」に分けて解説します。
初期:自覚症状がわかりにくいことがある
白内障の初期では水晶体の濁りがまだ軽度で、自覚症状がほとんどない場合があります。
目の疲れや「なんとなく見えにくい気がする」といった違和感程度にしか感じない方も少なくありません。
濁りがまだ軽いうえ、両目で見ていると、見えにくい側をもう片方の目が補ってしまうため、初期の白内障は気づきにくいのです。
中期:日常生活に影響が出始める
中期に入ると、かすみやまぶしさがはっきりしてきて、日常のさまざまな場面で不便を感じ始めるようになります。
具体的には、新聞やスマートフォンの文字が読みにくい、夜間の運転で対向車のライトがまぶしい、色がくすんで見えるといった症状が見られます。
末期:明るさの低下・視力の著しい低下が起こる
白内障がさらに進行して水晶体全体の濁りが強くなると、視界全体が暗く、白っぽくぼやけて見えにくくなります。
コントラスト(明暗の差)を見分ける力も大きく落ちるため、物の輪郭がわかりにくくなり、段差でつまずくなど転倒の危険も高まります。
末期でも手術によって視力回復を目指すことが可能ですが、進行すると水晶体が硬くなり、手術の難易度や合併症のリスクが上がるため、放置せずに一度早めに眼科で相談することが大切です。
タイプ別│白内障の見え方の違い

白内障は、水晶体のどこから濁り始めるかによって、以下の3タイプに分けられます。
- 核白内障
- 皮質白内障
- 後嚢下白内障
ここからは、タイプ別に見え方の違いを解説します。
核白内障
核白内障は、水晶体の中心部分にある「核」から濁りが進むタイプです。
水晶体の屈折力が変化して近視が進むと、一時的に近くを見やすくなることがありますが、老眼が改善したわけではありません。
治療せずに放置して進行すると、遠くも近くも見えにくくなってしまいます。
皮質白内障
水晶体の外側にある「皮質」から濁り始める皮質白内障は、加齢性白内障で多く見られるタイプです。
初期は水晶体の中央部分が透明に保たれていることが多く、進行も年単位でゆっくり進むため、気づかないうちに進行しているケースもあります。
後嚢下白内障
後嚢下白内障は、水晶体の後方にある後嚢に接した部分に濁りが生じるもので、ほかのタイプと比べて進行が早く、早期に視力への影響が現れやすいことが特徴です。
もともと視力が1.0だった場合も、数か月で0.1まで視力が下がってしまうこともあります。
白内障ではなく他の病気が原因で視力低下が起こる可能性もあるため、なるべく早めに眼科で相談しましょう。
白内障以外で見え方が変化する病気
白内障だけでなく、緑内障や加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜剥離といった病気でも見え方が変化します。
中には、放置すると視野や視力を大きく損なう可能性のある病気もあるため、気になる変化があれば検査を受けましょう。
| 病名 | 障害される部位 | 見え方の特徴 |
|---|---|---|
| 白内障 | 水晶体 | かすみ、まぶしさ、黄ばみ、二重に見える |
| 緑内障 | 視神経 | 視野の一部が欠ける・狭くなる |
| 加齢黄斑変性 | 黄斑(網膜の中心) | 見たい部分がゆがむ、中心が暗い・ぼやける |
| 糖尿病網膜症 | 網膜の血管 | 初期は無症状、進むとかすみ・飛蚊症・視力低下 |
| 網膜剥離 | 網膜 | 飛蚊症・光視症、視野の一部が欠ける |
白内障の治療法

白内障の治療には、大きく分けて点眼薬を使う方法と手術の2つがあり、治療の目的が異なります。
点眼治療
白内障が軽度で日常生活への影響が少ない場合には、白内障の進行を遅らせることを目的として点眼薬での治療を行います。
ただし、点眼治療は進行をゆるやかにする効果は期待できますが、一度濁った水晶体を透明な状態へ戻すことはできません。
そのため、見えにくさが日常生活に影響している場合には、手術が治療の選択肢となります。
白内障手術
白内障手術は、濁った水晶体を超音波で細かく砕いて吸い出し、「眼内レンズ」を目の中に挿入する手術です。
眼内レンズにはさまざまな種類がありますが、大きく分けると「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」があります。
術後の見え方は選ぶ眼内レンズによって大きく変わるため、レンズの特徴を知り、目の状態や普段よく見る距離に合ったものを選びましょう。
| 単焦点眼内レンズ | 多焦点眼内レンズ | |
|---|---|---|
| ピント | 1つの距離 | 複数の距離 |
| 眼鏡の使用 | 眼鏡が必要になることがある | 単焦点より眼鏡の使用機会を減らせる |
| 見え方 | ピントを合わせた距離で鮮明な見え方を得やすい | 複数距離を見やすくできる一方、コントラストが低下することがある |
| ハロー・グレア | 起こることはある | 単焦点より生じやすい |
白内障手術後の見え方の変化・注意点
白内障手術の術後しばらくは、目が新しい見え方に慣れるまでの一時的な症状が出ることがあります。
ここからは、手術後に起こりやすい見え方の変化と注意点を紹介します。
一時的なむくみで視界がぼんやりすることがある
白内障手術後は、角膜に一時的なむくみ(角膜浮腫)が生じることがあり、視界がぼんやりしたり、期待していたほど見えないと感じたりする場合があります。
気になる症状があれば手術を受けた医療機関で相談しましょう。
まぶしさや色の変化を感じることがある
濁った水晶体が取り除かれると、以前より多くの光が目に入るようになることで、術後しばらくはまぶしさを強く感じることがあります。
また、手術前よりも色が鮮やかに見えると感じることがあります。
いずれも目が慣れるにつれて気にならなくなる方がほとんどです。
ハロー・グレアが起こることがある
白内障手術後には、光の周囲に輪がかかって見える「ハロー」や、光がにじんでまぶしく感じる「グレア」が起こることがあります。
特に多焦点眼内レンズでは、単焦点眼内レンズよりハロー・グレアが現れやすい傾向があります。
白内障の見え方についてのよくある質問
ここからは、白内障の見え方について寄せられることの多い疑問にお答えします。
Q:白内障では文字の見え方はどう変わりますか?
A:白内障では、文字がかすむ、ぼやける、二重に見えるなどの症状が見られることがあります。
また、コントラストが低下すると、暗い場所や背景と文字の明るさの差が小さいときに読みづらさを感じる場合があるでしょう。
Q:白内障は左右で見え方が違う場合もありますか?
A:白内障は両目が同じペースで進行するとは限らず、片方の目の白内障がより進んでいれば、左右でかすみ方や明るさ、視力などに違いを感じる場合があります。
左右で見え方の違いを感じる場合や、片目だけに違和感がある場合は、早めに眼科で相談してください。
まとめ
白内障になると、視界のかすみやぼやけだけでなく、まぶしさ、光のにじみ、二重に見える、色を区別しにくくなるなど、さまざまな見え方の変化が起こります。
ただし、見え方だけで白内障かどうかを判断することはできず、他の病気が原因となって見え方が変化している可能性もあります。
見えにくさを「年齢のせい」と決めつけず、日常生活で気になる変化があれば眼科で詳しく調べてもらいましょう。
東武練馬駅南口から徒歩1分のつつみ眼科クリニックでは、眼科専門医が在籍し、1999年から2025年までに23,576件の白内障手術を行ってきました。
手術の際は麻酔医が全身状態を管理し、眼内レンズは生活スタイルに合わせて時間をかけてご相談のうえ決めています。
白内障かもしれないと不安な方、見え方に違和感がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。