眼内レンズの種類・選び方│単焦点・多焦点はどっちがいい?後悔しないためのポイント

眼内レンズ

「単焦点と多焦点はどっちがいい?」
「2焦点と3焦点では見え方はどう違う?」
「眼内レンズにはどんな種類があるの?」

白内障手術を受けるときに迷うのが、眼内レンズの種類ではないでしょうか。

眼内レンズにはさまざまな種類があり、豊富な選択肢から好みのものを選べるメリットがある一方、「どれを選べばいいかわからない」という方も多いです。

白内障手術で使用する眼内レンズの寿命は半永久的で、基本的には交換や入れ替えの必要はないため、後悔しないためにも自分に合ったものを選びましょう。

この記事では、眼内レンズの種類ごとの違いや見え方、メガネの必要性、眼内レンズの選び方を詳しく解説します。

白内障手術の眼内レンズとは?

眼内レンズを持つ手

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを目の中に挿入します。

眼内レンズにはさまざまな種類があり、どのレンズを選ぶかによって、手術後に裸眼で見やすい距離や眼鏡が必要になる場面などが変わるため、レンズ選びがとても大切です。

「遠くを裸眼で見たい」「読書をすることが多い」「スポーツをよくする」など、普段の生活でどの距離を見ることが多いかを考えてみましょう。

眼内レンズの種類

白内障手術で使用する眼内レンズは、大きく分けると1つの距離にピントを合わせる「単焦点眼内レンズ」と、複数の距離にピントを合わせられる「多焦点眼内レンズ」があります。

このほか、焦点の幅を少し広げる「プレミアム単焦点レンズ」や、乱視を矯正できる「トーリック眼内レンズ」もあります。

▶つつみ眼科クリニックの白内障の眼内レンズ一覧はこちら

単焦点レンズ

単焦点レンズは、遠方・中間・近方のいずれか1つの距離に焦点を合わせるレンズです。

遠方に合わせれば景色やテレビなどは裸眼で見やすくなる一方、手元を見る際には老眼鏡が必要になることがあります。

反対に近方へ合わせた場合は、読書などは裸眼でしやすくなりますが、遠方を見る際にはメガネが必要です。

多焦点眼内レンズと比べて見える範囲は限られるものの、ピントを設定した距離ではクリアな見え方を得やすく、ハロー・グレアも少ないことが特徴です。

プレミアム単焦点レンズ

プレミアム単焦点レンズは特別な機能を持った単焦点レンズで、見える範囲を広げ、遠方だけでなく中間距離も見やすい設計になっています。

ハロー・グレアも少なめで、車の運転の多い方も医師と相談のうえ選択できます。

近い距離を見るときにはメガネが必要です。

費用は一般的な単焦点と同じく保険診療の範囲で、費用を抑えられる傾向にあります。

多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズは、2か所以上の距離、または連続した距離にピントが合うよう設計されたレンズです。

JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)が紹介している海外の研究によれば、多焦点眼内レンズ挿入後、メガネなしで生活している人の割合は80.1%だったといい、メガネを掛けたり外したりする場面を減らしたい方に向いています。

ただし、1か所にピントを合わせる単焦点に比べると、くっきり感がやや劣り、夜間に光の周りに輪が見えたり、まぶしく感じたりするハロー・グレアが起こることがあります。

(参考:JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)『多焦点眼内レンズの臨床成績』)

種類見え方の特徴見えやすい距離注意点
2焦点眼内レンズ2つの距離に焦点を設ける遠方+近方など中間距離ではメガネが必要になることもある
3焦点眼内レンズ3つの距離に焦点を設ける遠方・中間・近方ハロー・グレアを感じやすい傾向にある
連続焦点型眼内レンズ遠方から近方まで幅広い距離を連続的にカバーする設計遠方~近方ハロー・グレアをやや感じやすい
焦点深度拡張型(EDOF)眼内レンズ遠方から中間距離まで連続的に見やすくする遠方~中間近方や細かい字は老眼鏡が必要な場合がある

乱視を矯正できる「トーリック眼内レンズ」もある

「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」には、それぞれ「トーリック眼内レンズ」という乱視を矯正するための眼内レンズがあります。

トーリック眼内レンズを使用することで、白内障とともに乱視の改善も期待できます。

ただし、乱視の種類や目の状態によっては適さないこともあり、検査のうえ医師が適応を見極めます。

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの違い

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの見え方のイメージ画像

単焦点と多焦点のどちらを選ぶかは、眼内レンズ選びで迷う方が多いポイントです。

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズでは、「裸眼で見やすくできる距離の範囲」が異なります。

単焦点は基本的に1つの距離にピントを合わせるのに対し、多焦点は複数の距離を見やすい設計です。

こう聞くと、「多焦点が単焦点の上位版」のように感じるかもしれませんが、実際にはそのように単純ではなく、どちらにもメリット・デメリットがあります。

それぞれの特徴を比較してみましょう。

比較項目単焦点眼内レンズ多焦点眼内レンズ
ピントが合う距離1か所(遠方・中間・近方から選ぶ)2か所以上、または連続した範囲
見え方の質コントラストが良く、くっきり見えやすい単焦点に比べるとくっきり感はやや劣る
ハロー・グレア起こりにくい起こりやすい(タイプによって差がある)
保険適用保険適用選定療養または自由診療
メガネの必要性ピントを合わせた距離以外で必要多くの場面で不要になるが、細かい字や暗い場所では必要になることもある
メリット・見え方の質が高い
・費用負担が少ない
メガネの使用場面を減らせる
デメリットピントが合わない距離はメガネが必要・費用が高い
・見え方に慣れるまで時間がかかることがある
向いている人・見え方の質を重視する方
・細かい作業や一定の距離を見る仕事が多い方
・メガネをなるべく使わずに過ごしたい方
・今まで老眼鏡を使ったことがない方
・夜間の運転が少ない方

白内障の単焦点レンズはどこに合わせる?遠く・中間・近くの違い

単焦点レンズを選ぶ場合、前もって「どの距離を裸眼で見たいか」を決め、それに合わせてレンズの度数を選びます。

遠く・中間・近くのどこを選ぶかによって、裸眼で過ごしやすい場面と眼鏡が必要になりやすい場面が変わるため、自分の希望やライフスタイルをよく考えて選択しましょう。

ピントを合わせる位置おおよその距離裸眼で見やすくしたいシーン眼鏡を使う可能性が高いシーン
遠方5m前後~それ以上車の運転、屋外での移動、景色を見る、映画鑑賞本や新聞を読む、スマートフォンを見る、細かな手元作業
中間60cm~1m前後パソコン作業、家事、料理、室内で人の顔やテレビを見る遠くの標識を見る、スマートフォンや小さな文字を見る
近方30~50cm前後読書、スマートフォン、裁縫などの手元作業車の運転、遠くの景色や看板を見る

遠くにピントを合わせる場合

遠方にピントを設定すると、景色やテレビなど離れた場所を裸眼で見やすくなります。

読書やスマートフォンなどの手元作業は裸眼ではぼやけるため、近くを見るときは老眼鏡が必要になります。

中間距離にピントを合わせる場合

単焦点眼内レンズは、遠方や近方だけでなく、中間距離にあわせてピントを設定することもできます。

パソコン作業や料理、食卓での会話など、手元から少し離れた位置を見やすくしたい場合に選ばれることがあります。

室内での生活はしやすくなる一方、遠くや近くを見るときはメガネが必要になることがあります。

近くにピントを合わせる場合

近方にピントを設定すると、読書や新聞、スマートフォンなどを裸眼で見やすくなります。

もともと近視が強く、若い頃からメガネを使ってきた方はメガネなしの状態で近くが見える生活に慣れている傾向にあり、近くに合わせると自然に感じることがあります。

ただし、テレビや景色、運転など遠くを見るときはメガネが必要になります。

白内障の眼内レンズの値段は?保険適用と選定療養の違い

眼内レンズの費用は、保険診療・選定療養・自由診療のどれにあたるかで大きく変わります。

単焦点レンズやプレミアム単焦点レンズ、単焦点の乱視矯正レンズは保険が適用され、手術費とレンズ代をあわせて1〜3割の自己負担で受けられます。

単焦点眼内レンズの日帰り手術は3割負担の場合、片目で6万円前後が目安です。

選定療養では白内障手術に相当する部分には保険が適用され、多焦点眼内レンズに係る追加費用は自己負担となります。

選定療養(保険診療3割負担)の場合、レンズの種類や必要な検査などによっても変わりますが片目につき25〜40万ほどが目安です。

自由診療では手術費用もレンズ代も全額自己負担となり、片目で50万〜100万円ほどかかります。(当院の取り扱い多焦点眼内レンズはすべて選定療養の対象です)

後悔しないために!白内障の眼内レンズの選び方のポイント

5つの眼内レンズ

眼内レンズは、メガネやコンタクトレンズのように気軽に交換できるものではありません。

後悔しないためにも、「自分がどんな場面で何を見たいのか」「手術後にどのような生活を送りたいか」を具体的に考えておきましょう。

ここからは、眼内レンズを選ぶときに押さえておきたい4つのポイントを順番に紹介します。

見たい距離で選ぶ

まず考えたいのが、眼鏡をかけずに見たい距離はどこかという点です。

眼内レンズは、水晶体のようにさまざまなものにピントを合わせることはできません。

普段あまり意識することがないかもしれませんが、室内生活でも、スマートフォンや新聞、パソコンでは距離に違いがあります。

特に単焦点眼内レンズはどこにピントを合わせるかが重要になるため、「生活の中でどの距離を裸眼で見たいか」を具体的にしておきましょう。

ライフスタイルで選ぶ

距離とあわせて考えたいのが、仕事や趣味など、毎日の過ごし方です。

夜間に車を運転する機会が多い方や、細かいものを見る仕事をしている方は、見え方の質を保ちやすいレンズが向いている傾向にあります。

反対に、メガネをかける機会をできるだけ減らしたい方には、多焦点レンズが候補になるでしょう。

よく見る場面距離の目安区分
車の運転・景色5m以上遠方
テレビ1〜2m中間〜遠方
料理70cm〜1m中間
パソコン・事務作業50〜70cm近方〜中間
読書・新聞30〜50cm近方
スマートフォン30cm前後近方

レンズごとの特徴・注意点を知っておく

どのレンズにも長所と短所があり、「すべての距離が若い頃のように見えるレンズ」は存在しません。

例えば単焦点レンズは見え方がくっきりしている反面、ピントの合わない距離ではメガネが必要です。

多焦点レンズについては、「ハロー・グレアやコントラスト感度の低下が起こりやすい」「慣れるまでしばらく時間がかかる」「見え方の鮮明さは単焦点に劣る」などのデメリットもあります。

メリットだけでなくデメリットもあわせて考えましょう。

何を重視したいか優先順位をつける

眼内レンズ選びで迷ったときは、自分が何を一番大切にしたいのか、優先順位をつけてみましょう。

「見え方のくっきり感」「メガネを使わない生活」「費用」「夜間の見え方」のすべてを同時に満たすレンズはないため、どこを譲れるかを考えておくと、選択肢を絞りやすくなります。

診察時に普段の生活や希望を具体的に伝え、医師にアドバイスをもらうのもいいでしょう。

白内障の眼内レンズについてのよくある質問

ここでは、白内障手術の眼内レンズについてよくある疑問に回答します。

Q:単焦点レンズを選んで後悔することはありますか?

A:単焦点レンズはピントが1か所に限られるため、それ以外の距離ではメガネが必要になります。

見え方を十分にイメージせず選ぶと、手術後に不便を感じるかもしれません。

多焦点との比較だけでなく、「どの距離を裸眼で見たいか」「眼鏡をどの程度使ってもいいか」といった点も前もってしっかり考えておきましょう。

Q:多焦点眼内レンズにすればメガネは不要ですか?

A:多焦点眼内レンズではメガネを使う場面を減らせますが、すべての方が完全にメガネ不要になるわけではありません。

長時間小さな文字を読むときや、薄暗い場所での読書、夜間の運転などでは、メガネを使う方もいます。

まとめ

白内障手術で使用する眼内レンズには、豊富な種類があります。

どのレンズを選ぶかによって、見え方やメガネが必要になる場面が変わるため、自分のこれからの生活や毎日のライフスタイル、譲歩できる部分などをよく考えて選びましょう。

東武練馬駅南口から徒歩1分のつつみ眼科クリニックでは、保険診療の単焦点から選定療養の多焦点まで幅広いレンズを取り扱っています。

近視・遠視・乱視の程度や眼の状態に加え、仕事や趣味、運転の有無なども確認しながら、患者さんやご家族と相談してレンズ・度数を決定しています。

白内障手術や眼内レンズ選びで迷っている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。