甲状腺眼症とは?
甲状腺とは首の真ん中、のど仏のすぐ下にある、重さ15~20gの臓器です。
ホルモンの一種である甲状腺ホルモンを作ります。
甲状腺ホルモンとは?
甲状腺ホルモンにはサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があります。脳にある下垂体という臓器から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されています。甲状腺ホルモンが不足してくるとTSHが増加して、甲状腺を刺激します。逆に何等かの理由で甲状腺ホルモンが増えすぎると、TSHの分泌は抑えられます。
甲状腺ホルモンの働き
体の新陳代謝を調節しています。脈拍数や体温、自律神経の働きを調節し、エネルギーの消費を一定に保ちます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)とは?
甲状腺の働きが異常に盛んになる病気です。女性に多く(男性の4倍)甲状腺腫、眼球突出、頻脈、微熱、発汗、手の震えなどのさまざまな症状がおこります。
甲状腺眼症とは?
甲状腺に関連した自己抗体が原因として起こる眼窩(眼の奥)の炎症がある場合、甲状腺眼症といいます。甲状腺機能亢進症に起こることが多いですが、甲状腺機能が正常な場合でも発症することがあります。
症状
上瞼の腫れ (朝、眼の腫れが目立つことが多い)
結膜充血
眼球突出(片目または両目が前に出てきた状態)
眼の動きが悪くなり、物が二重にみえる症状が出る場合もある
眼球突出
眼の症状は甲状腺の全身状態に先立って発症する場合や、甲状腺機能が良くなっても進行することがあります。
甲状腺眼症になると、眼球のまわりに眼脂が増えたり、筋肉が厚くなるため、眼球が押し出される。
そのため目が飛び出し、目を見開いているような表情になり、容貌が変わってしまう。
検査
【血液検査】
甲状腺ホルモンT4・T3とそれを調節している甲状腺刺激ホルモンTSHを測ります。
病気の原因になっている甲状腺に対する抗体の量も調べます。
【眼窩のMRI】
眼球突出の原因を調べます。眼の奥に脂肪が過剰にたまっていたり、眼の筋肉が太くなっていたり、視神経が圧迫されていないかを調べます。
治療
まず甲状腺の治療を行います。
甲状腺疾患の治療に詳しい専門医にかかることをお勧めします。
【点眼薬】
眼球突出していると眼が乾くので涙液を補充する点眼薬をさします。
【ステロイド薬】
眼窩内の炎症を改善し、浮腫を軽減する効果があります。
【放射線療法】
眼球突出が強い場合、眼球の奥の脂肪組織に放射線をかけると眼球突出を軽減する可能性があります。病状の進行を止める意味では効果的です。
【手術による治療】
眼が閉じられないほど眼球突出が強い場合、眼球の奥の脂肪を減らす手術(眼窩減圧術)を行うことがあります。
当院では甲状腺眼症を専門とする病院にご紹介しています。