
「コンタクトレンズで目のトラブルが起こりがちで困る…」
「メガネの煩わしさから解放されたい」
ICLは、このようなメガネやコンタクトレンズによる目のトラブルや管理の煩わしさにお悩みの方にとって魅力的な矯正方法です。
裸眼で過ごすことができ、レーシックのように角膜を削らないなどメリットが多い一方、目にレンズを挿入するというイメージから、不安をお持ちの方は少なくありません。
ICLは手術である以上一定のリスクがあるため、後悔しないためにも、デメリットやリスクについて十分理解しておくことが大切です。
この記事では、ICLのメリット・デメリット、リスクやよくある疑問について解説します。
ICLで後悔しないためのポイントも紹介しますので、ぜひ記事をチェックしてみてください。
ICLのデメリット・注意点

ICL(Implantable Collamer Lens/眼内コンタクトレンズ)を検討する際は、デメリットもしっかり把握しておくことが大切です。
ICLには、以下のようなデメリットや注意点があります。
- 費用が高くなる傾向にある
- 手術を受けるまでに時間がかかることがある
- ハロー・グレア(夜間の見えづらさ)の可能性がある
- レンズサイズの不適合、度数・位置のズレが起こることがある
- 術後に違和感や頭痛を感じることがある
- 期待通りの視力にならないことがある
- 合併症のリスクがある
それぞれ詳しく解説します。
費用が高くなる傾向にある
ICLは自由診療であり、さらに完全オーダーメイドのため、費用が高くなることがデメリットです。
クリニックによっても費用は異なりますが、両目で50〜70万円程度が相場で、片目の場合は半額になることが多いです。
レーシックの費用相場は両目で20万円〜40万円ほどといわれているため、レーシックよりもICLの方が高額になる傾向にあります。
ただし、ICLは医療費控除の対象となり、確定申告をすることで結果的に費用負担を軽減可能です。
コンタクトレンズは1ヶ月で考えると安いですが、10年使い続ければ480,000円かかるため、長い目で見ればICLの方が費用を抑えられることもあるでしょう。(1ヶ月4,000円×12ヶ月×10年と仮定した場合)
手術を受けるまでに時間がかかることがある
ICLのレンズは患者さん一人ひとりに合わせてオーダーメイドで設計するため、発注から届くまでに時間がかかることがあります。
目安としては2〜3週間ほどですが、それまで待機が必要です。
とはいえ、あらかじめスケジュール調整をすれば問題もなく、手術自体は短時間の日帰り手術で終わるため、この点はあまり問題にはならないでしょう。
ハロー・グレア(夜間の見えづらさ)の可能性がある
ICL手術後、光の周りに輪が見える「ハロー」、ライトが眩しく見えたりにじんだりして見える「グレア」といった現象が起こり、特に夜間に見づらさを感じることがあります。
ハローやグレアは失敗ではなく、レンズの構造によって起こる現象とされています。
個人差があるものの、時間の経過によって症状が軽快する方がほとんどです。
レンズサイズの不適合、度数・位置のズレが起こることがある
ICLでは手術前に詳細な検査を行いますが、それでも約1%の確率でレンズサイズの不適合が起こることがあるとされています。
また、怪我や衝撃によるレンズの位置のズレ、度数の誤差が起こる可能性もあります。
もしもレンズサイズの不適合や度数・位置のズレが起きた場合でも再手術によって修正が可能です。
術後に違和感や頭痛を感じることがある
ICL手術後、手術によって目の環境が変わったことで、頭痛や違和感を覚えることがあります。
これは、ピント調節機能が新しい視力に慣れていない、術後の眼圧変化、レンズによる軽度の異物感などが原因として考えられます。
ただし、これらの症状の多くは一時的なもので、2〜3日ほどで落ち着くことがほとんどです。もしも気になる症状が続く場合も、手術を受けた病院で処置を受けることで対処できます。
期待通りの視力にならないことがある
ICLでは、事前検査の結果を元に計算し、目に合った度数のレンズを使用しますが、必ずしも期待通りの視力にならないことがあります。
度数の誤差によって細かい文字が見えにくかったり、軽度の乱視が残るケース、ICLレンズの度数が強すぎて「過矯正」の状態になり、頭痛や目の疲れが起こりやすくなることもあります。
あらかじめ医師としっかり相談し、どのくらいの視力や見え方になるのか、確認しておきましょう。
度数の差が大きく、しばらく使っても慣れない場合は、レンズを入れ替える再手術を行うことで調整が可能です。
合併症のリスクがある
ICLでは小さな範囲ですが切開を行うため、目の充血や内出血、痛みが起こることがあります。
この他、眼圧上昇、白内障、緑内障、虹彩炎、眼内炎などの感染症も報告されている合併症です。
また、角膜内皮細胞の減少が視力に影響を与える可能性もあります。角膜内皮細胞はコンタクトレンズを長期使用している方は減りやすい傾向があり、事前検査でチェックします。
改良を重ねられた現在のレンズで重大な合併症が起こることは非常に稀ではあるものの、リスクについてしっかり説明を受け、感染症対策など術後のケアをしっかり行うことが大切です。
ICLのメリット・特徴

ICLは費用は高額になりがちであるものの、以下のような多くのメリットがあります。
- 裸眼で過ごせる
- 角膜を削らないため万が一のときに元に戻せる
- 近視戻りが少なく長期間見え方が安定しやすい
- ドライアイになりにくい
- 短時間の日帰り手術が可能
- 世界中で300万件以上の手術実績がある
- レーシック適応外でも治療を受けられることが多い
それぞれのメリットについて解説します。
裸眼で過ごせる
ICLの大きなメリットが、裸眼で過ごせる点です。
メガネの曇りや重さ、コンタクトレンズのズレや乾燥を気にする必要がなく、装用やお手入れの手間もかかりません。
朝起きた瞬間からよく見え、落として失くす心配もないため、スポーツする機会の多い方や災害時にも安心感があります。
将来的に老眼になった場合は老眼鏡が必要になる場合もありますが、普段裸眼で過ごせることは生活の質の向上にもつながります。
角膜を削らないため万が一のときに元に戻せる
可逆性があることもICLが支持される理由です。
レーシックの場合、レーザーを照射して角膜を削るため、手術後に元に戻すことはできません。
一方、ICLは角膜を削らずにレンズを挿入して視力を矯正する方法で、見え方に不満が生じたり、将来的に目の病気によって取り出しが必要になった際はレンズの取り出しや交換ができます。
「もしものときは元に戻せる」という安心感からか、近年はレーシックが受けられる目の方もICLを選ぶ方が増えています。
近視戻りが少なく長期間見え方が安定しやすい
ICLは視力が長期間にわたり安定しやすいことも特徴です。
レーシックでは、治療後に「リバウンド」といって近視が戻ってしまうことがあります。
一方、ICLの場合は眼内にレンズを挿入して屈折を変化させることで見えづらさを改善するため、視力の変化が少なく、見え方が長期間安定する傾向にあります。
ドライアイになりにくい
レーシックでは角膜を削ったり剥がしたりするため、角膜の神経に影響し、涙の分泌量が一時的に低下することがあります。
ICLは手術の際は非常に小さな切開で済むため、涙の分泌や質への影響が小さい傾向にあります。
ICLによってドライアイになったり、悪化したりすることは基本的にないとされているため、ドライアイの方でもICL手術を受けることが可能です。
また、ICLの素材には紫外線をカットする機能もついています。
短時間の日帰り手術が可能
ICL手術は片目で約10分、両目でも約20分ほどと、短時間での日帰り手術が可能です。
手術も全身麻酔ではなく点眼麻酔を使用するため身体への負担が少なく、翌日からほぼ普通の生活に戻ることができ、仕事や日常生活が忙しい方も受けやすい手術です。
世界中で300万件以上の手術実績がある
ICLはレーシックと比較すると聞き慣れない方も多いかもしれませんが、実はレーシックよりも長い歴史を持つ治療法です。
日本では2003年に臨床試験が行われ、2010年には厚生労働省の承認を受けました。
また、世界各国で承認され、世界中で300万件以上の手術実績があります。日本でも年間1万件以上のICL手術が行われており、近年その認知度はさらに高まりつつあります。
レーシック適応外でも治療を受けられることが多い
レーシックは、角膜が薄い・強度近視が強い・ドライアイが重度などの場合、手術を受けられません。
ICLの場合、角膜を削らないためレーシックが受けられない方も手術を受けられることが多いです。
ICLで後悔しないためのポイント

ICLで後悔しないために、これから紹介するポイントを押さえておきましょう。
手術後の注意点を守って過ごす
ICLで後悔しないためには、手術後の過ごし方も大切です。
感染症などのトラブルは多くが手術後1週間以内に起こりやすいため、この期間は事前に説明される手術後の注意事項をしっかり守り、十分注意して過ごしましょう。
また、ICLの手術後は必ず定期的な診察が必要です。(翌日、1週間、1か月、3か月、6か月)
視力が回復したからといって定期検診を軽視せず、経過観察まで含めてICL手術だと考えて、必ず定期検診を受けることが大切です。
近視や白内障を予防できるわけではないことを理解しておく
ICL手術をして視力が改善されたからといって、この先、近視や白内障になることを予防できるわけではありません。
手術後にスマホやパソコンを長時間見て目を酷使したり、目によくない生活習慣を続けていると新たに近視が起こることがあります。
また、白内障(水晶体が濁って見えにくくなる病気)のほとんどは老化現象によるもので、ICLを受けたからといって予防できるわけではありません。
改善した視力を良好な状態に保つためにも、これまで以上に目を大切にしましょう。
ICLのデメリットについてのよくある質問

ここでは、ICLのデメリットや注意点についてよく患者さんからいただく質問とその回答を紹介します。
Q:ICLはやめた方がいいと言われることがある理由は?
「ICLはやめた方がいい」といわれることがありますが、これはICLが手術であり、リスクをゼロにできないことが理由の一つとして考えられます。
ハロー・グレアやその他の合併症のリスクについて十分説明を受け、術後は感染症に十分注意して過ごすなどの工夫が必要です。
また、年齢的な問題にも注意が必要です。
ICLは屈折異常(近視・遠視・乱視)の矯正は可能ですが、老眼(加齢によるピント調節機能低下で近くのものが見えにくくなる現象)の治療はできません。
40歳前後で老眼を感じ始めた方の場合、ICL手術をすると遠くが見やすくなるものの、近くが見づらくなって、老眼が進行したように感じることがあります。
そのため当院では40歳以上の方にはICLはおすすめしていません。
Q:ICLは老眼を早めるって本当?
ICLが老眼を早めるというのは誤解で、ICL手術が老眼の原因になったり、症状を進行させたりすることはありません。
しかし前述の通り、手術を受けるタイミングによっては「老眼が早まった」と感じるケースもあります。
Q:ICLは失敗することはある?
ICLに限らずどんな手術にもいえることですが、100%の成功が保証されているわけではありません。
ICL手術の成功率は一般的に高いとされるものの、期待していたような見え方にならない場合や、合併症が起こる可能性があります。
Q:ICLで失明することはある?
ICL手術は世界中で300万件以上行われているものの、ICL手術によって失明したという報告はありません。(2025年11月時点)
ICLには合併症のリスクがありますが、これらのリスクが失明につながることはほぼなく、万が一合併症が起きた場合も適切な治療によって改善可能です。
まとめ
ICLにはデメリットもありますが、メリットの多い治療法です。
日常的な手入れが不要で、コンタクトレンズ使用による目のトラブルや病気のリスクもなく、起きた瞬間から裸眼で快適に過ごせます。
ただし、注意点が必要なリスクもあるため、検討する際は医師からしっかり説明を受けることが大切です。
メリットとデメリット、どちらもしっかり把握したうえで自分に合っているかどうか慎重に検討しましょう。
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