緑内障になりやすい人とは?代表的なリスク因子について徹底解説

緑内障 なりやすい人

緑内障になりやすい人には共通するリスク因子があり、早めに知ることが視力を守る第一歩になります。

緑内障は視野が少しずつ欠けていく視神経の病気で、初期には自覚症状がないまま進行する病気です。

眼圧が高くない場合でも発症するタイプもあるため、「痛みも見えにくさもないから大丈夫」とは言い切れません。

早期に見つけて治療を始めれば、進行のスピードを抑えることが期待できますが、放置すると視野の欠けが広がり、日常に支障が出る可能性もあります。

眼圧や血流、近視、家族歴、全身の病気、ストレスなど要因は人によって異なり、複数のリスクが重なるほど発症・進行の可能性が高まるでしょう。

また、視野の変化は元に戻りにくいことから、気になる要素がある方は症状がなくても眼科を受診するのがおすすめです。

この記事では、緑内障になりやすい人のリスク因子や、なりやすい性格はあるのかなど、気になる情報を紹介します。

緑内障は気づかないまま進むから怖い

緑内障 なりやすい人

緑内障は『いつの間にか視野が欠ける病気』といわれ、初期は自覚しづらいのが特徴です。

見え方の変化が起きる仕組みや進行の仕方、放置したときに生活へ及ぶ影響を知ることで、症状がなくても検査が必要な理由が理解しやすくなるでしょう。

ここでは、緑内障の基礎知識を紹介します。

緑内障は視野がゆっくり欠けていく視神経の病気

緑内障は、目の奥にある視神経が少しずつ傷み、見える範囲(視野)がゆっくり欠けていく病気です。

多くは視野の周りから徐々に狭くなるため、日常の見え方が保たれている間は自覚しにくい傾向があります。

視神経の形と視野の変化が診断の手がかりになり、早期発見が大切とされています。治療は進行を抑えることが目的です。

初期症状がほぼない理由と進行の仕方

緑内障の視野変化は周辺からゆっくり始まり、脳が欠けた部分を補うため、初期の段階では気づきにくいとされています。

両眼で見ていると左右差も埋まりやすく、本人の自覚はほぼありません。

視力そのものは保たれやすく、進行は年単位で少しずつ進むことが多いのも特徴です。精密な視野検査を受けて初めて分かるケースも少なくありません。

日本人に多い正常眼圧緑内障の特徴

日本人の緑内障は、眼圧が正常範囲でも発症する『正常眼圧緑内障』が多いとされています。

原因はひとつに絞れないものの、視神経の弱さや血流の影響が関わっている可能性があります。

進行がゆるやかで自覚が乏しく、気づいた時には病状が進んでいることも多いため、眼圧が正常でも、眼底検査や視野検査で確認することが大切です。

放置するリスク

緑内障を放置すると視野の欠けが少しずつ広がり、階段でつまずく、物にぶつかるなど不便が増える可能性があります。

自覚した時にはかなり進んでいる例もあり、さらに進行すれば視力が低下して失明に至ることも否定できません。

いったん失われた視野は元に戻らないため、治療は進行を抑える目的で継続することが重要です。

緑内障になりやすい人の主なリスク因子をチェック

緑内障 なりやすい人

緑内障になりやすい人には、年齢、強い近視、家族歴、眼圧の高さ、ステロイド薬の使用など代表的なリスク因子があります。

複数当てはまるほど、より注意が必要です。

健診で『緑内障疑い』『要精査』と出た方は、眼底所見や眼圧の判定を結果票で確認しておくと受診がスムーズです。

ここでは、緑内障の主なリスク因子を紹介します。

40歳以上

緑内障は年齢とともに発症しやすくなり、40歳を過ぎると有病率が上がるとされています。

年齢は誰でも重ねるものですが、40代以降は特に注意したいところです。加齢により視神経が傷つきやすくなることに加え、目の中の水分(房水)の循環が変化して眼圧が揺らぎやすくなる点も関係していると考えられます。

日本では眼圧が正常でも起こるタイプが多いものの、年齢が上がるほど発症・進行の可能性が高まる点は共通です。

初期は自覚症状が乏しいため、健診で異常を指摘されていない場合でも、40歳を迎えたら眼底検査や視野検査を定期的に受け、検査間隔は医師と相談するとよいでしょう。

強い近視

強い近視、特に強度近視のある方は緑内障のリスク因子とされています。

若い世代でも例外ではありません。近視が進むと眼球が前後に長くなり、視神経の出口(視神経乳頭)まわりが引き伸ばされやすくなります。

その結果、眼圧の変動や血流の影響を受けやすい状態になり、視神経が傷つくきっかけが増える可能性があると考えられます。

度数が高いほど発症しやすい傾向もあるとされているため、見え方に困っていなくても安心は禁物です。

眼鏡やコンタクトが手放せない方、近視が強いと言われた経験がある方は、定期的に眼底検査や視野検査を受けましょう。

家族歴

家族に緑内障の方がいる場合、発症しやすいリスク因子のひとつとされています。

原因が遺伝だけで決まるわけではありませんが、親や祖父母など直系血縁者に患者さんがいると発症リスクが4〜9倍も高いことは、国土交通省の『自動車運送事業者における視野障害対策マニュアル』にも記載されています。

眼圧が正常でも発症する場合も多いため、数値が問題ないと言われた経験があっても油断はできません。

緑内障は、年齢が若くても起こる可能性があります。家族歴がある方はぜひ早めに一度精密検査を受けておくとよいでしょう。

特に40歳前後は要注意です。以後は眼科で眼底・視野の検査を継続して受けましょう。

眼圧が高め

眼圧の高さは、緑内障の代表的なリスク因子とされています。

眼圧とは『眼球の中の圧力』で、目の中を循環する房水の量と出口の抵抗によって左右されるもので、目への血流が低下する生活を続けていると上昇しやすくなります。

圧が高い状態が続くと視神経に負担がかかり、傷みやすくなってしまうでしょう。

眼圧は日内で変動し、測定するタイミングで数値が変わることもあるため、指摘を受けたら放置しないことが大切です。

ただし、眼圧が正常範囲でも発症する場合もあり、数値だけで安心はできません。

健診で高眼圧や眼圧高めを指摘された方は、眼底検査や視野検査で視神経の状態を確認し、必要な治療や経過観察の間隔は医師の診察のもとで決めましょう。

ステロイド薬の長期使用

ステロイド薬の長期使用も、緑内障の重要なリスク因子です。

ステロイドは炎症を抑える一方、房水の出口の働きを弱めて眼圧が上がることがあり、その結果としてステロイド緑内障を起こす可能性があります。

点眼だけでなく、皮膚の塗り薬、内服、吸入などでも影響する場合があるため、反応しやすい体質の方では短期間でも眼圧が上がることがあるようです。

別の病気で処方されている場合も、使用歴を眼科で伝えてください。

また、緑内障は自覚症状が乏しい病気です。自己判断で続けず、使用中は定期的に眼科で眼圧と視神経を確認し、主治医の診察のもとで継続や中止を判断しましょう。

全身の病気や体調などの見落とされやすいリスク因子

緑内障 なりやすい人

緑内障は目だけの病気と思われがちですが、全身の病気や体調が関係している場合もあります。

糖尿病や血圧の変動、睡眠時無呼吸症候群、片頭痛・冷え性などは眼の血流に影響し、リスク因子になる可能性もあります。

気づきにくい場合もあるため、体の状態も見直すことが大切です。ここでは、見落とされやすいリスク因子を紹介します。

糖尿病

糖尿病がある方は、緑内障を合併しやすい可能性が指摘されていますが、意外と見落としやすいリスク因子のひとつです。

血糖値が高い状態が続くと眼の血流や房水の循環に影響し、眼圧が上がりやすくなる場合があります。

血糖コントロールが良好でも起こる可能性があるため、油断は禁物です。

網膜症が進むと、新生血管などの影響で眼圧が上がる例もあります。特に罹病期間が長い方や合併症のある方は早めの注意が必要でしょう。

治療状況を眼科に伝え、医師と相談しながら眼底検査や視野検査を受けましょう。

低血圧

低血圧など血圧の変動は、緑内障のリスク因子になり得るとされています。

血圧が低すぎると視神経への血流(眼灌流圧)が不足しやすく、正常眼圧緑内障の進行に関わる可能性があります。

特に夜間に血圧が下がりやすい『夜間低血圧』の方は注意したいところです。

低血圧が緑内障のリスク因子になる可能性があると聞くと、高血圧の場合はどうなのか気になるかもしれません。

高血圧が眼圧を高めて緑内障の発症や進行に関係しているとはいえませんが、動脈硬化や降圧治療の影響で血流が不安定になる場合もあります。

自覚症状がなくても眼底・視野を確認し、必要に応じてOCT検査を受けると安心です。降圧薬の調整は主治医と連携して慎重に行いましょう。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)があると、緑内障の見落とされやすいリスク因子になり得るとされています。

いびきや無呼吸で夜間に脳内の低酸素状態が繰り返されることで、視神経障害が引き起こされる可能性があります。

放置すると進行に影響することもあるため注意が必要です。

すでにSASで治療中の方も含め、眠気が強い方や無呼吸を指摘された方は情報を眼科で共有し、必要に応じてOCT検査も受け、医師と相談しながら状態を確認しましょう。

片頭痛・冷え性

片頭痛や冷え性がある方は、血管の収縮・拡張が起こりやすく、視神経への血流が不安定になりやすい傾向があります。

片頭痛は循環の変化が大きい体質と関連し、緑内障と無縁ではない可能性があるようです。

特に正常眼圧緑内障では眼の血流低下が進行に関わるとされ、冷えや血管が細い体質も注意点になります。

頭痛外来や内科で治療中の方は、体質や服薬を眼科で共有し、眼底・視野検査で状態を確認しましょう。

緑内障になりやすい性格はある?

緑内障 なりやすい人

性格だけで緑内障になるとはいえませんが、緊張しやすい方やストレスを抱え込みやすい方では、自律神経のバランスに影響する可能性があるとされています。

性格よりストレス状態が間接的なリスク因子になり得るため、心当たりがある場合は検査を受けてみるのがおすすめです。

ここでは、性格とストレスの緑内障との関わりについて紹介します。

性格だけで発症するわけではない

性格そのものが緑内障の直接原因になると断定はできません。

緑内障は眼圧や近視、家族歴、血流の状態など複数のリスク因子が関わる多因子の病気と考えられています。

性格の違いで発症が決まるわけではないため、過度に気にする必要はありません。

とはいえ、あまり気にしすぎて睡眠不足になると、眼圧が揺らいだり血流が変化したりする可能性があり、間接的に影響することも考えられます。

大切なのは性格より、今の心身の負担が続いていないかを見直すことです。

ストレスを溜め込みやすい傾向との関係

ストレスを溜め込みやすい傾向がある方では、緊張が続くことで交感神経が優位となり、血圧上昇に伴って眼圧も上がりやすい可能性があります。

さらに血管が収縮すると視神経への血流が低下し、栄養や酸素が届きにくくなることもあるようです。

こうした状態が重なると、正常眼圧緑内障の進行に関わる場合があると考えられるため、不調が続くときは眼科で相談しましょう。

性格が引き起こしやすい生活のクセにも注意

真面目で頑張りすぎる方は、休憩を取らず長時間パソコンやスマホでの作業を続けたり、締め切り前に睡眠を削ったりしがちです。

他にも、水分を一気に飲む、肩や首がこったまま同じ姿勢で作業するなども、眼の血流を滞らせる要因になり得ます。

こうした生活のクセは自律神経の乱れを引き起こし、眼圧の揺らぎや視神経への負担につながる可能性があります。

意識的に休息を入れ、睡眠や体調を整えることが予防のひとつになるため、違和感がなくてもクセを直すよう心がけましょう。

心当たりがある人は症状がなくても検査を受けよう

リスク因子に心当たりがある方は、見え方に異常を感じていなくても眼科で検査を受けることが大切です。

緑内障は初期症状が乏しいまま進行し、視野の欠けは元に戻りにくいとされています。

早期に見つけて治療を開始すれば、進行を抑えられる可能性があるため、忙しくても後回しにしないことが重要です。

健診で指摘がなかった方も、定期的に眼底・視野を確認しておくと安心につながります。

まとめ

緑内障になりやすいのは、年齢や強い近視、家族歴、眼圧の変動、ステロイド薬の使用に加え、糖尿病や血圧の乱れ、睡眠時無呼吸症候群、ストレスなどのリスク因子が重なる方です。

初期の変化は周辺から進むため、気づきにくい点に注意が必要でしょう。進行を抑える治療が選びやすくするためにも、心当たりがある場合は検査を続けることが大切だといえます。

練馬区のつつみ眼科クリニックは、東武練馬駅南口から徒歩1分のところにあります。

緑内障専門医が診療を担当し、予約なしで即日の視野検査にも対応。点眼治療のほかSLTレーザー治療などの中から、患者様一人ひとりに適した治療をご提案いたします。

一般診療は予約不要で、緑内障外来など一部専門外来はWEB予約が利用可能です。リスク因子に心当たりのある方や健診で指摘を受けた方は、ぜひお気軽にご相談ください。