白内障の種類と特徴を詳しく解説!予防&進行を遅らせる方法

白内障 種類

目の中の水晶体が濁ることで生じる白内障は、目がかすんだり視力が低下したりする病気です。

白内障はその原因や状態、進行度合いなどからいくつかの種類に分けられます。

この記事では、白内障の種類や予防・進行を遅らせる方法を紹介します。

白内障に関する理解を深めたい方、ご自身の白内障の種類を知りたい方は、ぜひご覧ください。

発症原因による白内障の種類

白内障 種類

白内障は、発生原因によって以下の種類に分けられます。

  • 加齢性白内障
  • 併発白内障
  • アトピー性白内障
  • 外傷性白内障
  • 糖尿病性白内障
  • 薬物が原因の白内障

それぞれ詳しく紹介します。

加齢性白内障

加齢性白内障は、老人性白内障とも呼ばれ加齢が原因で発症する特徴があります。

早い方だと40代で症状が出ることもあり、80代になるとほぼすべての方に何らかの症状が見られるようになります。

参考:厚生労働省「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究

水晶体の中のタンパク質は、加齢にともなって白濁し、進行すると黄色、褐色へと変化していきます。

症状は徐々に進行するため、気づかないうちに重症化していることも珍しくありません。

40歳を過ぎたら、定期的な眼科検診を受けて早期発見に努めましょう。

併発白内障

併発白内障は、他の目の病気が原因で起こる白内障です。

代表的な疾患には、ぶどう膜炎、緑内障、網膜色素変性症、虹彩毛様体炎、硝子体出血などがあります。

これらの病気による炎症が水晶体に影響を与え、濁りを生じさせると考えられています。

発症時期や進行のスピードは原因疾患によって異なる点が特徴です。

治療は基本的に原因となる疾患のコントロールからはじめますが、白内障そのものへの対処が必要なケースもあります。

アトピー性白内障

アトピー性白内障は、アトピー性皮膚炎の方が発症する可能性のある白内障です。

慢性的な炎症や、目をたたいたり掻いたりする習慣が影響して水晶体が濁ると考えられています。

アトピー性皮膚炎は、幼少期に発症することが多いため、白内障も10代から30代の若年層で見られるケースがあります。

進行が早い傾向にあるため、アトピー性皮膚炎を悪化させないように皮膚科と連携を取りながら眼科受診も定期的に行うことが理想です。

外傷性白内障

外傷性白内障は、目に物理的な衝撃や外傷を受けたことが原因で発症します。

例えば、スポーツ中のボールの直撃、転倒、金属片の飛来などが引き金となります。

強い衝撃が加わると、水晶体の被膜が損傷し、内部のタンパク質が変化して濁りが生じます。

外傷の直後に発症する場合もあれば、時間が経ってから徐々に進行することもあるため、受傷後は定期的に眼科を受診しましょう。

外傷の程度によっては、眼球内の他の組織にも影響が及び、視力に大きく関わることもあります。

糖尿病性白内障

糖尿病性白内障は、血糖値の高い状態が長く続くことで発症リスクが高まる白内障です。

高血糖により、水晶体内にソルビトールという糖代謝物質が蓄積し、浸透圧の変化によって濁りが生じるとされています。

比較的若い年齢でも発症することがあり、進行が早いのが特徴です。

視界のかすみや光のにじみなどが見られた場合は、早めの眼科受診が望まれます。

血糖コントロールを適切に行うことで進行を遅らせることが期待できます。

糖尿病の管理は、眼だけでなく全身の健康維持にも直結するため、定期的な内科・眼科の連携が重要です。

薬物が原因の白内障

薬物性白内障は、特定の薬剤の長期使用によって生じることがあります。

特に、ステロイド剤(点眼薬・内服薬・吸入薬など)の長期使用が代表的です。

その他にも、一部の向精神薬や抗がん剤などが原因となる場合も報告されています。

薬の作用で水晶体の代謝バランスが崩れ、タンパク質が変化して濁りが生じると考えられています。

薬が必要な疾患治療と白内障のリスクを比較し、医師の指示のもとで適切に使用することが大切です。

自己判断で中止せず、使用中の薬については定期的に医師へ相談し、視力変化を感じた場合には早めの受診をおすすめします。

先天性白内障

先天性白内障は、生まれつき、または出生直後に水晶体が濁っている状態を指します。

原因としては、遺伝的要因、胎内感染(風疹など)、胎児期の代謝異常などが挙げられます。

片目だけに生じる場合もあれば、両目に発症することもあります。

濁りの程度によっては視力の発達に影響を与えるため、早期発見・早期対応が非常に重要です。

新生児期や乳幼児健診で異常が疑われた場合は、速やかに専門医による診察が行われます。

軽度で視機能に影響が少ない場合は経過観察とすることもありますが、視覚の発達を守るために適切な治療方針を立てることが大切です。

濁りの状態による白内障の種類

白内障 種類

白内障は、水晶体が濁る部分によって、以下のように分類されます。

  • 皮質白内障
  • 核白内障
  • 後嚢下白内障

それぞれ詳しく紹介します。

皮質白内障

皮質白内障は、水晶体の外側にある皮質部分から濁りが始まるタイプです。

主に加齢が関係しますが、紫外線や糖尿病などの影響も考えられています。

初期の段階では、光がまぶしく感じたり、夜間の視界がぼやけたりすることがあります。

進行すると、白く放射状に伸びる濁りが広がり、視界全体がかすんで見えるようになります。

特徴として、日光やライトの光が特にまぶしく感じることが多いです。

進行を遅らせるためには、紫外線対策や禁煙、バランスの取れた食事が有効とされています。

核白内障

核白内障は、水晶体の中心部分(核)から濁りが進むタイプの白内障です。

主な原因は加齢であり、中高年以降に多く見られます。進行すると水晶体が黄褐色に変化し、全体的に視界が暗く感じるのが特徴です。

初期の段階では、近くが見えやすくなる「第二の視力」と呼ばれる現象が起こることもありますが、これは一時的なもので、やがて遠近ともに視力が低下していきます。

視界のにごりや色の見え方の変化(全体的に黄色味を帯びるなど)を感じた場合は、早めの眼科受診が望まれます。

喫煙や紫外線曝露がリスクを高めることが知られており、生活習慣の見直しも予防の一助となります。

後嚢下白内障

後嚢下白内障は、水晶体の後方、網膜側に近い「後嚢下部」に濁りが生じるタイプの白内障です。

他のタイプに比べて進行が早く、まぶしさや視界のにじみといった症状が強く出やすいのが特徴です。

特に、明るい場所で視力が落ちやすく、夜間の運転や強い光の下で見えづらさを感じることがあります。

発症要因としては、加齢のほか、ステロイド薬の使用、糖尿病、放射線曝露などが関係します。

中央視野に濁りがかかるため、読書や細かい作業に支障をきたす場合もあります。早期の段階で定期的に検査を受け、進行具合を確認しながら適切な管理を行うことが大切です。

進行状態による白内障の種類

白内障 種類

白内障は、進行状態によって以下の4つの種類に分けられます。

  • 初期白内障
  • 中期白内障
  • 成熟白内障
  • 過熟白内障

それぞれ詳しく紹介します。

初期白内障

初期白内障は、水晶体のごく一部に濁りが生じ始めた段階で、視力への影響はまだ軽度です。

多くの場合、自覚症状がほとんどなく、眼科検診で偶然見つかることも少なくありません。

視界が少しかすむ、光がにじむ、暗いところで見えにくくなったなどの軽い変化が出始めることがあります。

この時期に生活習慣を整えることで、進行を遅らせることが可能です。

紫外線対策としてサングラスを着用したり、ビタミンC・Eを含む食品を積極的に摂取したりすることが推奨されます。

禁煙や適切な血糖管理も有効です。早期から定期的に眼科を受診し、変化を観察することが重要です。

中期白内障

中期白内障では、濁りが広がり視力の低下がはっきりと感じられる状態です。

文字が読みづらい、光をまぶしく感じる、色の識別が難しくなるといった症状が目立ちます。

眼鏡をかけても視力が十分に改善しない場合、この段階に進行している可能性が高いです。

日常生活に不便を感じることが増えますが、個人差が大きく、進行の速さも人によって異なります。

無理に我慢せず、視力の状態を確認しながら医師と相談することが大切です。

生活の工夫としては、室内の照明を明るくする、コントラストの強い印刷物を使うなどが有効です。定期検診による進行度の確認が重要になります。

成熟白内障

成熟白内障は、水晶体全体が濁ってしまい、光の透過がほとんど失われた状態を指します。

視界は白くかすみ、明暗の区別がつきにくくなります。

この段階になると、眼鏡などの補正では視力を回復することはできません。日常生活に大きな支障をきたすため、医師と相談のうえで手術を検討することが一般的です。

成熟白内障は放置すると眼内圧の上昇や炎症を引き起こすこともあり、進行を見極めながら適切なタイミングでの治療判断が求められます。

進行を早める要因としては、強い紫外線や喫煙、糖尿病のコントロール不良などが挙げられます。予防と定期受診が大切です。

過熟白内障

過熟白内障は、成熟白内障のさらに進んだ状態で、水晶体の成分が溶け出すなどの変化を起こしている段階です。

水晶体が白濁を超えて乳白色や灰白色に変化し、視力がほとんど失われることもあります。

進行に伴い、水晶体の内容物が周囲に漏れ出すことで眼内炎症や続発性緑内障を起こす可能性もあります。

この段階では視力回復を目的とした手術が難しくなる場合もあり、適切なタイミングでの受診と管理が重要です。

長期間放置せず、見えにくさを感じた時点で早めに眼科に相談することが望まれます。進行を防ぐためには、日常的な眼のケアと定期的な検査が欠かせません。

白内障の予防・進行を遅らせるためにできること

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白内障は進行してしまうと止めることは難しいですが、進行を遅らせることはできます。また、予防を心がけることで発症しても軽度で済むケースもあります。

紫外線対策

紫外線は白内障の発症や進行に関係する要因の一つと考えられています。

長期間、強い日差しを浴びることで水晶体にダメージが蓄積し、タンパク質の変性が進みやすくなるためです。

外出時にはUVカット機能のあるサングラスや、つばの広い帽子を着用することが有効です。

特に日中の10時から14時頃は紫外線量が多くなるため、外出を控えたり、日陰を選ぶ工夫も大切です。

曇りの日でも紫外線は降り注ぐため、季節を問わず対策を心がけましょう。また、車の運転時はUVカット仕様のレンズを使用することで目を守ることができます。

禁煙

喫煙は白内障のリスクを高める代表的な生活習慣要因のひとつです。

タバコの煙に含まれる有害物質は体内で酸化ストレスを引き起こし、水晶体の酸化ダメージを促進するといわれています。

長年の喫煙習慣によって発症リスクが上がるだけでなく、進行を早めることも報告されています。

禁煙することで血流が改善し、目の細胞の酸素供給も良くなるため、目の健康維持にもつながります。

禁煙は白内障予防だけでなく、全身の健康を守る意味でも非常に重要です。

禁煙外来やサポートグッズを活用し、無理のない方法で取り組むことが勧められます。身近な人の協力も成功の大きな支えとなるでしょう。

バランスの良い食事

栄養バランスの取れた食事は、白内障の予防や進行抑制に役立つと考えられています。

特に、抗酸化作用をもつビタミンC・E、βカロテン、ルテインなどの栄養素が重要です。

これらは体内の酸化ストレスを軽減し、水晶体の老化を遅らせる働きがあるとされます。

緑黄色野菜(ほうれん草・ブロッコリーなど)、果物、ナッツ類、青魚を日常的に取り入れることがおすすめです。

食事から摂取することが基本であり、サプリメントを利用する際は過剰摂取に注意が必要です。

また、糖質のとりすぎは血糖値を上げ、白内障リスクを高めることがあるため、適度な食事コントロールも意識しましょう。毎日の食習慣が、将来の視界を守る土台となります。

定期的な眼科検診

白内障は初期の段階では自覚症状が少ないため、定期的な眼科検診が早期発見・早期対応に役立ちます。

特に40歳を過ぎた頃からは、年に1回程度の受診を習慣化することが望ましいです。

眼科検診では視力検査や細隙灯顕微鏡による水晶体の状態確認が行われ、白内障の有無や進行度が把握できます。

進行が見られる場合も、日常生活への影響が軽い段階で対策を立てることが可能です。

また、糖尿病や高血圧など全身疾患を持つ方は、より定期的なチェックが推奨されます。検診を通して自分の目の変化を知ることが、長期的な視力維持の第一歩です。

まとめ

白内障は誰にでも起こりうる目の老化現象ですが、生活習慣の工夫で進行を遅らせることができます。

紫外線対策や禁煙、栄養バランスの良い食事、そして定期的な眼科検診は、その基本となる取り組みです。

発症しても初期のうちは自覚しづらく、気づかないまま進行してしまうこともあります。見え方に違和感を覚えたら早めに眼科で相談することが大切です。

つつみ眼科クリニックでは、専門分野ごとの実績が豊富な医師が患者様の治療を担当します。

白内障についてだけではなく、目の状態が心配だと感じている方はぜひご相談ください。