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目の中の水晶体が濁って視界がぼやけたり、光をまぶしく感じたりする白内障は、高齢になると発症する方が多い病気です。
では一体何歳くらいから発症率が上がるのでしょうか？
また、白内障の種類によっては、若年で発症するケースもあります。
この記事では、白内障を発症する年齢や若年での発症ケース、手術を受ける年齢などを紹介します。
白内障が心配、自分が白内障なのではと悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
加齢性白内障は何歳から発症する？
白内障にはいくつかの種類がありますが、一般的に加齢とともに発症する白内障は「加齢性白内障」です。
ここでは、加齢性白内障の発症時期について紹介します。
加齢性白内障とは
加齢性白内障は、加齢に伴って目の水晶体が濁り、視力が低下するなどの症状が現れる病気です。
目の中にある水晶体は本来透明で、網膜へ光を通す重要な役割を担っています。
しかし、年齢を重ねるにつれて、タンパク質が変性することで透明度が失われ、光が通過しにくくなります。
そうなると、目のかすみ、まぶしさなどを感じるようになるのが白内障です。
加齢性白内障は、誰でも加齢によって生じることがあるため完全に防ぐことは難しいものの、生活習慣の改善や紫外線対策によって進行を遅らせることはできます。
加齢性白内障を発症する目安
加齢性白内障による水晶体の変化は、一般的に40代後半から始まります。
しかし、その時点で症状を自覚することは少なく、50～60代で発症を自覚する方が増加する傾向です。
70代以降になると、程度の差はあれどほとんどの方に白内障の所見がみられるとされます。
発症時期には個人差があり、進行の早さも生活習慣や遺伝などの要因によって異なります。
白内障の年齢別発症率
白内障の発症率は、年齢とともに上昇します。
40代では所見がある程度ですが、50代以降に増え始め、80代以降ではほぼ100％に近い方が発症しています。
視力の低下が日常生活に支障をきたすかどうかは個人差が大きく、同じ年齢でも進行の程度は異なります。
参考：厚生労働省「令和5年患者調査の概況」
若年でも白内障を発症するケース
白内障は加齢だけが原因ではないため、発症原因によっては若年でも白内障と診断されることがあります。
ここからは、若年でも白内障を発症するケースについて紹介します。
アトピー性白内障
アトピー性皮膚炎の方が発症する白内障を、アトピー性白内障と呼びます。
アトピー性白内障は、痒みによって目を擦る、たたくなどの行為が繰り返されることや、慢性的な炎症が原因となっているのではとされています。
特に20～30代の男性に多い傾向です。
加齢性白内障とは異なり、水晶体の前方や後部に混濁が生じる点が特徴です。
ステロイド性白内障
長期間ステロイド薬を使用したことで発症する白内障を、ステロイド白内障と呼びます。
ステロイドは内服、吸入、点眼などが一般的で、炎症を抑える作用がある一方で、白内障や緑内障のリスクを伴うとされます。
長期間の使用で、水晶体の後嚢部分に混濁が現れる点が特徴です。
ステロイドを使用している方は、定期的に眼科検診を受ける必要があることに加え、自己判断で中止するのではなく、医師と相談する必要があります。
外傷性白内障
外傷性白内障は、目に強い衝撃を受けたことによって水晶体が損傷し、濁りが生じる状態です。
交通事故やスポーツ中の打撲、異物の混入、手術などの医療行為など原因は多岐にわたります。
外傷性白内障は、外傷を受けた直後に発症することもあれば、数か月から数年経って徐々に濁りが進行することもあります。
受傷後は、症状が軽くても眼科での精密検査を受けることが大切です。
糖尿病性白内障
糖尿病性白内障は、高血糖状態が続くことで水晶体の代謝が乱れ、混濁を生じる白内障です。
血糖値の上昇によって水晶体内のソルビトールが蓄積し、浸透圧の変化で構造が変性します。
糖尿病の発症から比較的短期間で起こることもあり、若年でも見られるのが特徴です。
また、加齢性白内障を悪化させる要因にもなります。
血糖コントロールが良好であれば進行を遅らせることができるため、内科と眼科の連携が大切です。
定期的な眼底検査を受けることで、白内障だけでなく糖尿病網膜症の早期発見にもつながります。
先天性白内障
先天性白内障は、生まれつき水晶体が濁っている状態で、出生直後から視力発達に影響を及ぼすことがあります。
原因は遺伝的要因のほか、妊娠中の母体感染（風疹など）や胎内環境の異常、代謝疾患などが挙げられます。
片目だけの場合もあれば、両目に発症することもあります。
生後早期に発見・治療しないと、視覚の発達が妨げられ「弱視」を残す可能性があるため、早期手術が推奨されるケースもあります。
新生児期や乳児健診で異常が指摘された場合は、速やかに小児眼科を受診することが重要です。
白内障の初期症状と老眼の違い
白内障も老眼も加齢によって生じる目の異変になるため、判断に迷うことがあるかもしれません。
ここからは、白内障の症状と老眼の違いを紹介します。
白内障の代表的な症状
白内障の代表的な症状は、以下の通りです。
- 視界のかすみ
- まぶしさ
- 色の見え方の変化
- 視力低下
初期は軽いかすみ程度ですが、進行すると眼鏡でも矯正できないくらいに視力が低下します。
夜間に光がにじんで見えたり、昼間の太陽光や車のライトがまぶしく感じたりすることもあります。
また、片目だけの場合は進行しても気づきにくいことがあるため、定期的な視力検査によって医師の診断を受けることが大切です。
白内障と老眼の違い
白内障も老眼も、加齢によって起こる視覚の変化ですが、原因や症状は異なります。
老眼は水晶体の弾力が低下してピントの調節がしにくくなっている状態で、遠くは見えても近くが見えにくいのが特徴です。
一方、白内障は水晶体自体が濁るため、全体的に視界がかすみます。
老眼鏡をかけても視力が回復しない場合は、白内障の可能性を疑いましょう。
また、どちらも同時に進行する場合があるため、見え方の変化を感じたら眼科で検査を受けることが大切です。
白内障の手術を受ける年齢の傾向
実際に白内障の手術を受けるのは、何歳頃からが一般的なのでしょうか。
ここからは、白内障の手術を受ける年齢の傾向について紹介します。
手術は70代の患者さんが中心
白内障の手術は、70代の患者さんが多く受けられる手術です。
白内障は年齢とともに進行し、60代頃から生活に支障をきたすと感じる方が増えてきます。
手術は視力の低下が日常生活に支障をきたすようになってきた段階で検討されることが多く、70代がそのタイミングといえるでしょう。
近年は、手術技術やレンズの進歩によって手術への恐怖心が少なくなってきているため、早めの手術を希望する方も増えています。
一方で、視力が保たれている場合には経過観察を続けることも可能です。
生活の質（QOL）を考慮し、医師と相談しながら適切な時期を判断しましょう。
ライフスタイルによる手術の時期
白内障の手術を受ける時期は、生活スタイルや仕事の内容によって異なります。
例えば、車の運転やパソコン業務を日常的に行う方は、早めの手術を選択するケースが多いです。
反対に、視力の低下がそれほど生活に支障をきたしていない場合は、経過観察を続ける方もいます。
また、旅行や趣味を楽しむために手術を検討する方が増えています。
80代以降で手術を受ける際の注意点
80代以降で白内障の手術を受ける際は、加齢に伴う全身の健康状態を十分考慮する必要があります。
例えば、高血圧や心疾患、糖尿病などの持病がある場合、手術の安全性や麻酔方法について事前に内科医と眼科医が連携をとって判断することが重要です。
また、体力や介助の有無も回復過程に影響を及ぼします。
手術自体は局所麻酔で短時間のうちに終わることが多く、高齢者の方でも比較的安全に行えますが、術後の点眼や通院に不安がある場合、家族のサポートが重要となります。
白内障の進行を止めるにはどうすればいい？
白内障の進行を完全に止めるのは難しいですが、日常生活の工夫によって遅らせることは可能です。
ここからは、白内障の進行を防ぐ方法を紹介します。
紫外線対策
白内障の進行を防ぐためには、紫外線対策が欠かせません。
紫外線は水晶体内のタンパク質を変性させ、白内障の発症や進行を促進する要因の一つとされています。
外出時はUVカット効果のあるサングラスや帽子を着用し、特に日中の屋外活動では目を保護することが重要です。
曇りの日でも紫外線は降り注ぐため、季節を問わず意識的な対策を心がけましょう。
また、UVカット機能付きのコンタクトレンズや眼鏡も有効です。日常の小さな習慣が、長期的な目の健康維持につながります。
抗酸化作用のある食べ物を摂取
白内障の予防には、抗酸化作用のある栄養素を積極的に摂取することが推奨されます。
水晶体の酸化ストレスを軽減することで、タンパク質の変性を抑え、進行を遅らせる効果が期待できます。
代表的な栄養素として、ビタミンC・E、βカロテン、ルテイン、ゼアキサンチンなどが挙げられます。
これらは緑黄色野菜や果物、ナッツ類などに多く含まれています。
特に、ほうれん草やブロッコリー、ブルーベリーなどは目の健康維持に役立ちます。バランスの良い食生活を意識することが、白内障予防の基本です。
禁煙
喫煙は白内障の発症リスクを高めることが多くの研究で報告されています。
タバコの煙に含まれる活性酸素や有害物質が水晶体に酸化的ダメージを与え、加齢による変性を加速させます。
喫煙者は非喫煙者に比べて発症率が約2倍高いとされ、特に長期喫煙者ほどリスクが上昇します。
禁煙によってリスクは徐々に低下するため、早期に生活習慣を見直すことが重要です。
白内障予防だけでなく、全身の健康維持にもつながるため、禁煙外来などを活用して継続的なサポートを受けるとよいでしょう。
参照：全国健康保険協会「第4回 喫煙と目～喫煙が目に与える影響とは？～」
適度な運動
適度な運動は、全身の血流を促進し、酸化ストレスを軽減することで白内障の予防に役立ちます。
ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなどを継続することで代謝が改善し、水晶体の老化を遅らせる効果が期待されます。
また、運動は血糖や血圧のコントロールにも寄与し、糖尿病性白内障の予防にも有効です。
ただし、過度な紫外線曝露を伴う屋外運動の場合は、サングラスや帽子を併用することが推奨されます。
日常生活に無理なく取り入れられる運動習慣が、目の健康を支える基盤となります。
定期的な眼科検診
白内障は徐々に進行する病気であるため、定期的な眼科検診による早期発見・経過観察が重要です。
自覚症状が軽い段階では見逃されやすく、視力低下を感じた時にはすでに進行していることもあります。
40歳を過ぎたら、1年に1回程度の検診が理想的です。眼圧測定や細隙灯検査などで水晶体の状態を確認でき、他の眼疾患の早期発見にもつながります。
視力の変化やまぶしさ、色の見え方に違和感を覚えた際は、早めに受診するように心がけましょう。
まとめ
白内障は加齢とともに多くの人が経験する病気ですが、進行を遅らせたり、適切な時期に手術を受けたりすることで生活の質を維持できます。
若年でもアトピー性やステロイド性、糖尿病性などさまざまな原因で発症する場合があるため、年齢にかかわらず注意が必要です。
見え方に違和感を覚えたら早めに眼科を受診し、自分に合った治療方針を立てることが、快適な生活を保つ第一歩となります。
つつみ眼科クリニックでは、専門分野ごとの実績が豊富な医師が患者様の治療を担当します。
白内障かもしれない、とにかく検査だけでもしてみたいという方は、ぜひご相談ください。