乱視は治る?矯正治療法・選び方のポイント!眼科に行くべき理由も解説

乱視 治る

ものが二重にブレたり、ぼやけて見えたりする乱視は年齢や生活習慣を問わず、多くの人が抱える視力の悩みの一つです。

「放っておいて自然に治る?」「眼鏡やコンタクトで改善できるの?」「子どもが乱視かもしれない」など、自分や子どもの目の状態や乱視の治療について疑問をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では乱視とはどんな状態か、乱視は治るのか、治療法(矯正方法)などについて詳しく解説します。

また、乱視は眼科に行くべきかどうかなどについても解説しますので、自身の状態を正しく理解し、適切な対策を選ぶための参考にしてみてください。

乱視とは?

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乱視とは、目の中でレンズの役割をしている角膜や水晶体の歪みによって光が網膜上で1点に焦点を結ばず、視界がぼやけたり二重に見えたりする屈折異常です。

正常な目(正視)の場合、光が網膜にきれいに像を結びますが、乱視の目は角膜や水晶体が楕円形にカーブしているため1点で焦点が合わなくなり、近くも遠くも見づらい、文字がにじむといった症状が起こります。

人の目は完全な球形ではないので、程度の差はあってもほとんどの人が乱視を持っていますが、軽度であれば問題になることはありません。

しかし、歪みが大きいと乱視が強くなり、見えづらさにつながります。

乱視は治る?

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物が二重に見えたり、夜間に光がにじんだりする乱視の症状は日常生活のさまざまなシーンで影響するため、お困りの方は少なくありません。

乱視そのものを治すことは難しいですが、眼科での治療によって視力回復させることは可能です。

乱視は自然に治ることはない

乱視は角膜や水晶体の形状の歪みという「目の構造」が原因で生じるものです。

成長や加齢によって形状が変化し、乱視の症状が悪化したり、減少したりすることはありますが、自然に治ることは基本的にありません

矯正治療で視力の回復や改善はできる

乱視は、眼科での矯正治療によって視力の改善や見え方を向上させることが可能です。

一般的な矯正方法としてはまず、乱視用レンズ(メガネやコンタクトレンズ)での矯正があります。

レンズで角膜の歪みに合わせて光が適切に網膜へ届くよう調整し、視界のにじみ、ピントの合わせづらさなどの改善を図る方法です。

乱視の種類や症状によってはICL手術やレーシック、白内障手術といった手術も選択肢になるでしょう。

なお、乱視は必ずしも矯正や手術が必要になるわけではありません。日常生活に大きな支障がなければ、特に治療が必要ないケースもあります。

乱視の治療は症状に合わせて複数の選択肢があり、年齢・ライフスタイル・乱視の種類によって適した矯正方法は異なるため、まずは眼科で詳しい検査を受けて相談してみましょう。

乱視の治療法(矯正方法)

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乱視には「正乱視」と「不正乱視」があり、それぞれ適した治療は異なります。

ここでは一般的な治療法について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

眼鏡

最も手軽で一般的な乱視の矯正方法が、乱視用メガネです。

症状に合わせて、円柱レンズを使ってきれいに見えるように調整します。

メリットデメリット
・目に触れないため誰でも安全に使いやすい・調整が簡単・コストを抑えられる傾向にある・スポーツでは不便なことがある・天候や湿度で曇る・フレームが視界を遮りやすい・不正乱視は矯正できない

メガネは角膜に直接触れないため安全に使用しやすく、度数を調整しやすいのが魅力です。

一方、激しい運動には不向きで、視界の広さではコンタクトに劣ります。

また、不正乱視の場合はメガネによる矯正はできません。

トーリックコンタクトレンズ(乱視用コンタクトレンズ)

トーリックコンタクトレンズ(乱視用コンタクトレンズ)は、メガネよりも広い視界が得られ、見た目に影響しないため若い方を中心に人気です。

乱視矯正に使用するのは、乱視用のデザインが施された特殊なコンタクトレンズです。

レンズの厚さが一定ではなく、部分的に薄くなったり厚くなったり、レンズが回転しにくい構造になっています。

メリットデメリット
・視界が広く自然
・スポーツ時にも便利
・毎日の装着、管理が必要
・目の乾燥やゴロゴロ感が気になる場合がある

目の上に乗せて使用するコンタクトレンズはメガネよりも見え方が自然で、スポーツのときにも邪魔になりにくいですが、清潔に使い続けるためにはしっかり管理する必要があります。

正乱視の場合はソフトコンタクトレンズ、不正乱視(角膜不正乱視)の場合はハードコンタクトレンズで矯正を行うことが一般的です。

オルソケラトロジー(軽度の乱視)

オルソケラトロジーは、夜寝ている間に特殊なハードレンズコンタクトをつけて角膜の形を矯正する方法です。

主に近視の治療で用いられる方法ですが、軽度の乱視であれば一定の効果が期待できます。

メリットデメリット
・日中裸眼で過ごせる
・手術をしなくても矯正可能
・子どもにも適応可
・強度乱視や強度近視の方には向かない
・朝は見やすく、夜は見づらいことがある(日内変動)
・装用や管理が必要
・自費診療のため費用が高くなる
・ハードコンタクトレンズのため慣れないうちは痛みを感じることがある

オルソケラトロジーは、寝ている間にハードコンタクトレンズを装用することで一時的に角膜の形状を整えるため、手術なしで矯正が可能です。

ただし効果は持続的ではなく、使用をやめると角膜は元に戻ります。

屈折矯正手術

レーシックやICLといった方法も乱視矯正の選択肢です。

レーシック

レーシックは、レーザーで削ることで角膜のカーブを整え、見え方を矯正する手術です。

乱視のほか、近視や遠視も同時に矯正でき、手術時間も短い傾向にあります。

メリットデメリット
・視力回復が早い
・手術時間が短い
・近視や遠視も同時に矯正できる
・角膜を削るため元に戻せない
・角膜が薄い人は手術が受けられない
・ドライアイ、ハロー・グレア現象(夜間の光がにじむ)が出る場合がある
・手術後に近視戻りが起こる可能性がある
・合併症リスクがある

レーシックは視力回復が早いことが特徴ですが、レーシック後1〜5年ほどで近視戻りが起こる可能性があります。

ただし、角膜を削るため元に戻せず、角膜の厚さが薄いとレーシックは受けられません。

ICL

ICLは、眼内に小さなレンズを挿入することで視力を矯正し、裸眼で見えるようにする手術です。

乱視の治療には、専用のトーリックICLを使用します。

メリットデメリット
・レンズを取り外すことができる・角膜を削らずに矯正ができる・強度近視や角膜が薄い人でも受けやすい・視力が安定しやすく見え方の質が高い・近視や遠視も同時に矯正できる・費用が高くなる傾向にある・合併症リスクがある

ICLはレーシックとは異なり角膜を削ることがなく、可逆性(レンズの取り出し・交換が可能)があります。

見え方も安定しやすく、術後のドライアイになりにくいなどメリットも多いですが、レンズが特殊なため費用が高くなる傾向にあります。

白内障手術(乱視用眼内レンズ)

白内障は主に加齢が原因で水晶体が白く濁ってしまう病気です。この濁りによって水晶体を通る光の進む方向が変わると、乱視が引き起こされることがあります。

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズ(乱視用のトーリック眼内レンズ)を挿入します。

メリットデメリット
・白内障と乱視を同時に矯正できる・ライフスタイルや希望に合わせてレンズを選べる・見え方が向上し生活の質の向上につながる・費用が高くなる傾向にある・通常の手術より少し手術時間が長くなる・医師の高い技術力と経験が要求される
・合併症リスクがある

トーリック眼内レンズを使用した白内障手術では、見え方が改善され、生活の質の向上も期待できます。

乱視矯正を目的とした白内障手術は歪みの角度に合わせて固定する必要があり、高い技術が求められるため、経験や実績豊富なクリニックを選ぶ必要があります。

乱視の治療法(矯正方法)はどれがいい?選び方のポイント

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乱視の治療法はいくつかありますが、自分に合った方法を選択することが大切です。以下のポイントをチェックしてみましょう。

  • 乱視の度数や種類・疾患
  • 可逆性(元に戻せるか)かどうか
  • 見え方やライフスタイル

まず、乱視は大きく「正乱視」と「不正乱視」の2つに分けられます。

正乱視であればメガネ・コンタクト・手術など幅広い選択肢がありますが、不正乱視の場合は治療法が限られ、ハードコンタクトレンズもしくは手術を行うことが一般的です。

「元に戻せる治療なのかどうか」も確認しておきましょう。特にレーシックの場合、角膜を削るため元に戻すことはできず、慎重な検討が必要になります。

また、治療の満足度を左右する点として「どのような見え方を重視するのか、どんな生活を送っているのか」といったポイントも大切です。

目が乾燥しがちな方はメガネ、スポーツをする機会が多い人はコンタクトレンズやICLなど、自分の希望やライフスタイルを踏まえて、医師とよく相談しましょう。

乱視は眼科に行くべき?受診をおすすめする理由

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ものがブレて見える、ぼけて見える、どの距離でもピントが合わないなど、乱視が疑われる症状がある場合は、眼科で検査・診察を受けましょう。

乱視で眼科を受診することには、以下のようなメリットがあります。

  • 検査・診断で自分の目の状態を正しく把握できる
  • 視力だけでなく頭痛・疲れ目などが改善する可能性がある
  • 子どもの弱視を防ぐことにつながる

乱視の見え方に慣れていると、自分で乱視だと気づかないことがあります。

眼科で検査せず、自己判断でメガネやコンタクトを使用すると、見え方が安定しないだけでなく、症状が悪化することもあるため注意しましょう。

乱視は頭痛・肩こり・眼精疲労の原因となることがあり、治療することでこれらが改善される可能性もあります。

毎日の生活で「見えづらいのに何となく我慢している」という状態は、無意識に疲れを積み重ねてしまう原因になるため、早めの相談がおすすめです。

子どもの場合、乱視や近視・遠視のような屈折異常があると、視機能が十分に発達せず「弱視」になるリスクが高まります

子どもが見えづらさや目の不調を訴えている場合は、なるべく早めに一度眼科で相談してみましょう。

乱視の治療・矯正についてのよくある質問

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ここでは、乱視の治療・矯正についてのよくある質問と回答を紹介します。

Q:乱視は自力で治すことはできる?

乱視は目の構造(角膜や水晶体)の歪みによって起こるため、目のトレーニングや生活習慣の改善などで治すことは難しいです

専用のメガネやコンタクトレンズ、ICLやレーシックといった手術での矯正を検討しましょう。

Q:乱視だったら必ず治療が必要?矯正が必要な乱視度数は?

一般的には、0.75Dの軽度の乱視から矯正治療を検討するといいとされています。

とはいえ、患者さんの希望やライフスタイルによっても矯正が必要かどうかや適した矯正方法は変わります。

例えば、デスクワークの多い方の場合、矯正するとはっきり見えすぎてしまい(過矯正)、眼精疲労につながることがあり、必ずしも矯正が必要になるとは限りません。

一度眼科で詳しい検査を受けたうえで、眼科医と自分に合った矯正方法を相談するといいでしょう。

Q:乱視矯正はいつから始めればいい?

大人の場合、乱視によって生活に支障が出ているのであれば、矯正を検討しましょう。

見えづらさを放置すると、頭痛や疲労が蓄積しやすくなります。

視界の悪さによって集中力が低下し、仕事や勉強のパフォーマンスにも影響する可能性もあるため、放置せずに早めの治療がおすすめです。

一方、子どもは乱視が視力の発達に影響する可能性があるため、早期発見・早期治療が基本となります。

乳児や幼児など小さな子どもは見えづらさを自分で言葉にして伝えられないため、眼科で検査を受けることが大切です。

Q:乱視でも目を細めるなど工夫すれば見える場合は矯正は不要?

普段はぼやけてしまうものの、目を細めると一時的に見えやすくなるという方もいるかもしれません。

しかしこれは一時的に見え方が変わるだけで、視力の矯正はできません。

目つきが悪くなったり、シワが刻まれてしまうなど別のお悩みにつながることもあるため、眼科で検査を受け、適切な矯正を行うのがおすすめです。

Q:乱視で眼科を受診する場合の費用目安は?

乱視の検査で眼科を受診する際にかかる費用は、以下が目安です。(保険適用3割負担の場合)

  • 初診・再診料……300~750円ほど
  • 基本的な視力検査・屈折検査……600~900円ほど
  • 詳しい角膜検査……900~1,500円ほど

ただし、費用は検査内容によっても変わります。症状や目の状態によっては追加検査が必要となることもあるため、あくまで目安と考えておきましょう。

費用について不安な場合は、行く予定の眼科に事前に電話などで問い合わせておくと安心でしょう。

まとめ

「ものが二重や三重に見える」「ブレて見える」など、乱視による見えづらさは、適切な矯正によって改善できます。

一般的な矯正方法はメガネもしくはコンタクトレンズですが、希望やライフスタイルに合わせて手術を検討することも可能です。

症状を悪化させないためにも、乱視が疑われる場合は放置せず、早めに眼科に相談してみましょう。

つつみ眼科クリニックでは、メガネやコンタクトレンズはもちろん、乱視矯正のためのICLや白内障手術にも対応しています。

強度乱視や円錐角膜の方向けのオーダーメイドコンタクトレンズも取り扱っていますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。