一般的に物を見るときは両方の目が、見ようとする方向に向いています。ところが両方の目が同じ方向を見ているにもかかわらず、片方が違う方向を向いている場合があります。これを斜視と言います。
斜視には目の位置によって、内斜視・外斜視・上斜視・下斜視があります。
内斜視や外斜視に上下の斜視を伴っていることも多いです。
生れ付き片方が外にずれている場合があり、外斜視と言います。ほとんどの外斜視は間欠性と言って、いつもはずれるのではなく、注意していないと外れると言う状態が多いです。眠い時やぼおっとしている時に、はずれやすくなります。間欠性の場合、眼は交互に外れるので視力は出ており、手術を急ぐ必要はありません。
プリズム眼鏡とは、度の入ったレンズにプリズムを組み込み、光を屈折させることによって像を移動させることのできるレンズです。斜視自体をなおすことはできませんが、斜視の角度を減らし、両方の目を使いやすくします。
プリズム眼鏡
眼鏡の上に貼り付けて、プリズムの効果が得られる膜状のものです。プリズムと同じ効果が見られます。薄く簡単に貼り付けられ、取り外しも簡単です。厚みが均等で薄いので、強いプリズム効果の欲しい人にも向いています。眼鏡のレンズに線が見えるのが欠点です。
眼鏡のレンズに合わせて切り取り、貼る
内側についている筋肉(内直筋)を後ろの方につけ直すことによって、作用を弱めます。
斜視の手術
10歳以上なら局所麻酔でも可能です。局所麻酔の利点は目の位置を確認しながら手術できるので局所麻酔の方が成績がいいという説もあります。手術後眼がごろごろしたり赤くなりますが、1か月くらいすると目立たなくなります。手術は1度で終わる場合もありますが、時間がたって2度3度受けなければならない場合もあります。内斜視の手術後、時がたって今度は外斜視になることもあります。外斜視の場合、しばらくたってまた外斜視が戻ることがあります。その都度ベストの選択をする必要があります。
A斜視のタイプによって時期は異なります。先天性内斜視の場合は早く受けた方が両方の目を使う力(両眼視機能)が育ちます。間欠性外斜視の場合は目の位置が外れていないときは両目を使っているので、手術は急ぎません。目立つ場合は検査がちゃんとできるようになってから、受けることが多いです。あまり気にならない場合は急ぎません。
A外斜視の方がよく見えないのに眼鏡をかけないでいると、眼がはずれやすくなります眼鏡を使いましょう。
A子供は成長期にあるので、手術後も眼の位置は変わる可能性があります。内斜視の手術後、今度は外斜視になってしまうこともあります。外斜視の場合は、手術後しばらくしてまた外向きに戻ることもあります。再手術が必要になることもあることを、ご承知おき下さい。
A斜視の手術は局所麻酔ですと痛みが強い可能性が高いです。ですから小学生の間にお受けになる場合は全身麻酔になることが多いです。
A外見上目立つ・とても疲れやすいという症状があれば受けた方がいいでしょう。