ヘルペスウイルスは一度感染すると、症状がおさまっても体内に住み続けるウイルスです。人に感染するヘルペスウイルスには8種類ありますが、「単純ヘルペスウイルス」と「水痘帯状疱疹ウイルス」は一度感染すると神経節という神経の集まる神経節に住み、再発の時に水疱を作るのが特徴です。この二つのウイルス感染は眼科でもよく見る病気です。
皮膚や口、眼に痛みのある小さな水疱ができます。
何度も再発しやすいです。
皮疹に抗ウイルス薬であるアシクロビル眼軟膏を塗ります。
単純ヘルペスによる樹枝状角膜炎
ウイルスが角膜の上皮で増えて、樹木の枝のように見えるので、樹枝状角膜炎と呼ばれます。
充血・痛み・まぶしいなどの症状が現れます。病変が急激に広がって見えにくくなることもありますので、注意が必要です。(地図状角膜炎)
角膜のより深い実質にウイルスが拡がると、実質層が腫れて白く濁り、視力も下がります(円盤状角膜炎)
単純ヘルペスによる地図状角膜炎
アシクロビル眼軟膏が有効ですが、時に悪化することがありますので油断は禁物です。再発の多い病気ですが、規則正しい生活をすることで再発を予防することができます。
身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みとそれに続いて小さな水ぶくれが現れます。
眼の上から頭にかけて痛みがあり、しばらくして皮疹が出るので最初はヘルペス感染とわからないことがあります。
50-70歳代に多くみられる病気ですが、過労やストレスが引き金になり、若い人にも発症することがあります。水疱は赤みや腫れを増し、かさぶたに変化して通常は3週間ほどで治ります。帯状疱疹の痛みは皮疹が引くと共に収まりますが、皮疹が治っても3か月から3年ぐらい痛みが続く場合があります。神経が炎症によって傷ついたことで痛みが起こると言われています。
何度も発症することもある単純ヘルペスと異なり、通常は生涯に一度しか発症せず、再発することは稀です。
ヘルペスによる皮膚炎
抗ウイルス薬の軟膏や内服を使います。帯状疱疹が疑われた場合、直ちに(水疱が現れる前)に内服投与を開始します。これらの薬は病気をなおすわけではありませんが、症状を緩和します。
顔に皮疹が出てから、眼に症状が出ます。結膜炎が多いですが、角膜炎をおこすこともあります。単純ヘルペス角膜炎に比べて、角膜炎は軽いことが多いです。
A強い感染力はありませんが、ウイルスに対する抗体を持っていない乳幼児には感染の可能性がありますので触った手で乳幼児に接触したり、ほおずりなどしないようにしましょう。
A目の周りでしたら眼科に、皮膚が主でしたら皮膚科を受診して下さい。
A赤く腫れた後にかさぶたができ、その後かさぶたはとれてだんだん赤みが薄れてきます。時間がかかることも多いです。
A皮疹の強い方や高齢者に痛みが強く出ることがあります。
痛み止めを飲んでいただいたり、ペインクリニックを受診していただきます。
A水痘帯状ヘルペスウイルスに対するワクチン注射を受けることが有効です。