加齢によって網膜の中心にある黄斑に障害を生じ、見ようとするところが見えなくなる病気です。高齢化に伴って増えて、現在日本人の失明原因の4位になっています。50歳以上の方の約1%に発症しています。また約20%の方は両眼性になることもあります。
加齢黄斑変性
眼底に黄白色のドルーゼンと呼ばれる病変がみられる場合があります。将来新生血管が発生し、加齢黄斑変性になる可能性があります。ドルーゼンを指摘された方は定期的な眼底検査をお勧めします。
老人性ドルーゼン
大きく分けると萎縮型と滲出型の2つの種類があります。
網膜色素上皮が徐々に萎縮していき、視力が低下していく病気です。
萎縮型加齢黄斑変性
脈絡膜から異常な血管(脈絡膜新生血管)が生えてくることによっておこります。新生血管は破れやすいため、出血したり、血液中の成分が漏れ出して黄斑が腫れ、物を見る細胞の機能が障害されます。 萎縮型がゆっくり進行するのに対して、滲出型は病状の進行が速く、視力の低下も重症なことが多いです。
物がゆがんで見えます。
中心部はゆがみますが、周辺部はきれいに見えます。
変視症の見え方
さらに黄斑部が障害されると真ん中が見えなくなり視力も低下します。
碁盤の目のような図を見ていただき、格子のゆがみを調べます。
変視症を早く発見できます。
線がぼやけて薄暗い
中心がゆがむ
網膜の断面を観察して、網膜やその下の新生血管などの状態を立体的に観察します。
三次元眼底画像解析装置画像
造影剤を用いることなく、網膜・脈絡膜血管内の血液の様子を可視化することのできます。
OCT血管造撮影画像
治療法は今のところありません。
治療の目的は新生血管の拡大を抑え、萎縮させて視力の維持をすることです。
脈絡膜新生血管ができるのには、血管内皮増殖因子(VEGF)が関係していると言われています。
VEGFを阻害することによって、新生血管を退縮させる方法です。
現在ベオビュ・バビースモ・ルセンテイス・アイリーアが認可されています。
基本的には目の中に4週間ごとに3回注射します。
その後は新生血管の活動性が見られれば、再度注射をします。
注射の詳細につきましては黄斑外来のページをご覧ください
加齢黄斑変性は両眼に起こることも多い病気です。
毎日どこか見るところ決めて(カレンダー、お風呂のタイルなど)片目ずつ歪みがないか、見えないところがないか確認しましょう。
注射の詳細につきましては黄斑外来のページをご覧ください
A60歳以上の高齢者に多いです。75歳以上の方の約30%の人が黄斑変性にかかっており、5年以内に残りの23%の人が発症すると言われています。男性が女性の3倍くらい多いです。
A約20%の人が両目になりますので、片目に発症した場合、最善の治療を受けておくことをお勧めします。
A毎日片目ずつ、細かい物を見て(例えばカレンダーとか)ゆがみや視力の低下がないかをチェックすることが大切です。
A抗VEGF注射には新生血管の増殖や成長を抑制する効果が認められています。導入期は毎月1回、3回行い、その後は病状によって注射を打つ場合と、休む場合があります。 ただとても高額な治療ですので、よく医師とご相談下さい。
A治療後の視力は病気の進行度合いによってさまざまです。黄斑のなかでも重要な中心窩に変化が出ている場合は、視力の回復は難しいです。早期に治療すると良好な視力が保たれる傾向にあります。
A喫煙や、日光にあたるのは良くないと言われています。バランスのとれた食事をし、緑黄色野菜や、お魚中心の食事がいいとされています。