視神経(物を見る神経)が傷つき、特徴的な視野(物が見える範囲)の障害を起こし、視野が欠けてくる病気です。視神経を傷つける要因はいくつかありますが、眼圧を十分に下げることが、視神経の障害を抑え、視野障害の進行を遅らせると確認されています。そのため眼圧を下げる治療が中心になっています。
目の構造や眼圧上昇の原因により、次のように分類されています。
緑内障の分類
日本人の場合、眼圧が正常なタイプの原発開放隅角緑内障が多いことが分かっています。それを正常眼圧緑内障といいます。眼圧が著しく高い原発閉塞緑内障の方が発作を起こした時(急性緑内障発作)は、眼の痛みや充血・かすみ・頭痛といった症状を起こします。正常眼圧の緑内障の場合、かなり進行した緑内障でない限り、自覚症状はありません。検診などで、「視神経乳頭陥凹拡大」「網膜神経線維束欠損」といった判定をされ、眼科を受診して初めて診断されることがほとんどです。
眼圧は一日の中でも日によっても、季節によっても変動します。血圧測定と同じように繰り返し測定し、治療前にご自身の元の眼圧(ベースライン)を確認します。測定の仕方にはいくつかあり、患者様のご様子により選択します。
当院では患者様がご自身で眼圧を測定できるアイケアHOMEの貸出をおこなっています。ご自身の眼圧に興味をお持ちいただき、また眼圧の一日のうちでの変動の特徴を調べ、治療の助けとすることもできます。
アイケアホーム
目にレンズを載せて、眼の中の水の出口に当たる部分である隅角を直接観察します。その結果、上記に示した緑内障のタイプが決まります。
隅角鏡
隅角の広い人
隅角の狭い人
視神経とその周囲の網膜神経線維を観察し、緑内障による変化が出ていないか、観察します。緑内障以外にも緑内障に似た紛らわしい視野変化を起こす病気もありますので、よく調べる必要があります。 また最近では眼底三次元画像解析装置(OCT)を用いて、視神経の陥凹の具合をみたり、網膜の厚さを調べて観察します。
視野の検査はとても大切な検査です。緑内障の進行具合によって間隔は異なりますが、定期的に行う必要があります。
当院では基本的にはハンフリー視野計で計測し、自動解析装置(ビーライン)を用いて進行具合をチェックしています。
ハンフリー視野計での検査ができない場合や病状によっては、ゴールドマン視野計を用いて検査する場合もあります。
進行速度別の視野変化の具体例 新田 耕治著(福井県済生会病院)
眼圧を下げることにより、緑内障の発症や進行が抑えられることが証明されていますので、眼圧を下げる治療が中心となります。
眼圧上昇の原因が、隅角が閉塞している場合は、レーザーによる虹彩切除や白内障手術を行います。炎症が原因の場合は炎症を抑える治療を行います。
緑内障の原因がわからない場合は、眼圧を下げる治療を行います。眼圧を下げる方法は点眼薬が中心ですが、時に内服薬やレーザー治療を行うこともあります。それでも眼圧のコントロールができない場合や視野が進行してしまう場合は、手術をお勧めします。
虹彩切除術前
虹彩切除術後
当院では日帰り緑内障手術を行っています。
その他視神経乳頭や網膜の血流を改善させたり、視神経の保護を期待する治療も期待されています。
詳細につきましては、緑内障外来・日帰り緑内障外来のページもご覧ください
A眼圧と血圧は関係ありません。
A閉塞隅角緑内障の場合は60歳以上の女性に多いです。遠視の方もなりやすく要注意です。近視の人が緑内障になった場合、進行が早いということがわかっています。またご家族に緑内障がある人はなりやすいといえるので、定期検査をお勧めします。
A眼圧が上がっていないのに、視野が欠けていく緑内障は正常眼圧緑内障といいます。何らかの原因で視神経がダーメジを受けやすいので、眼圧が高くない正常眼圧でも障害がでるのです。
Aタバコは視神経の循環に影響を与えるので控えた方が良いでしょう。
A早めに気が付いて治療をすれば失明しないで済みます。気が付かないうちに進行することがありますから、早期発見・早期治療が大切です。進行する方と進行しない方がおられますので、治療しながら見極めていく必要があります。
A緑内障の治療の原則は目薬です。点眼していても眼圧が下がらず、視野が進行してしまう場合、手術を考えます。しかし手術をしても一度消失した視神経が元に戻ることはありませんので、早期治療が大切です。
Aレーザーによる虹彩切除術を受ける場合は来院時虹彩を縮瞳させ眼圧を上げないようにする点眼薬をさした後レーザーを照射します。レーザーは5分ほどで終わり、帰宅していただけます。レーザー後の日常生活に制限はありません。翌日眼圧測定のため来院しいていただきます。